連載【勢津子さま遺品公開〈下〉】 身近に感じる日常生活の品々

 
(写真上・右)勢津子さまが詠まれた和歌 、(同・左)勢津子さまが作陶された花生け、(写真下)会津葵の紋がある御手元箪笥

 尾張徳川家から会津若松市に寄付された勢津子さまの遺贈品は約55点あり、10日からの一般公開ではこのうち、たんすや茶わんなど10数点と勢津子さまのパネル写真を展示する。

 焼き物は抹茶わんや花生けなど3点。陶芸を愛された秩父宮さまの希望で静岡県御殿場市の別邸に構えた「三峰窯」で作られたものだ。御殿場の別邸は秩父宮さまが療養生活を送った場所で、三峰窯は1950(昭和25)年に陶芸家加藤土師萌(はじめ)によって作られ、秩父宮さまが命名した。

 秩父宮さまが53年に亡くなられてからは三峰窯はしばらく閉じられたが、数年後に勢津子さまやゆかりの人たちによって「陶つくりの会」が開かれるようになった。今回公開される遺贈品の抹茶わんや花生けは、秩父宮さまが亡くなった後に作られた作品だ。御殿場の別邸は勢津子さまの遺言によって御殿場市に寄贈され、秩父宮記念公園として2003(平成15)年から一般公開されている。

 和歌は数点。現在の上皇さまが皇太子時代にご結婚された際、お祝いで詠まれた歌などが展示される(文面の内容は調査中)。たんすは黒塗葵紋散箪笥(くろぬりあおいもんちりたんす)など。会津葵の紋があることから、輿(こし)入れの際に作られたものとみられる。展示会場の重陽閣もゆかりが深い。勢津子さまは会津藩祖保科公をまつる土津神社を参拝し結婚を報告するため、1928年に会津に帰省している。重陽閣は、その際に宿泊した東山温泉・新瀧旅館別館で、73年に現在の場所に移築された。

 展示品はいずれも勢津子さまの日常生活の中に存在したものばかりだ。展示関係者は「勢津子さまを初めて知る人、改めて知る人が勢津子さまゆかりの品々を見て、勢津子さまのような方がいらっしゃったことを身近に感じてもらえれば」と話した。