福島県民、思いやりに感謝 英国・エリザベス女王死去、96歳

 
エリザベス女王のメッセージが書かれた手紙を手にするスプリッグさん=郡山市

 英国のエリザベス女王が8日、滞在先の北部スコットランドで死去した。96歳だった。

 エリザベス女王の突然の訃報は、英国とゆかりの深い県内の人々に大きな喪失感をもたらした。「人のために尽くした女王だった」。本県の復興も喜んでいたという思いやりにあふれた「英国民の母」に、感謝の言葉が相次いだ。

 「この10年間の福島県の繁栄をとても喜んでいる」。郡山市語学指導外国人のポール・スプリッグさん(カナダ出身)は1月上旬、エリザベス女王のそんな言葉が紹介されている手紙を受け取った。

 スプリッグさんは市内の語学指導外国人の仲間とともに2013(平成25)年から、本県の魅力を発信するカレンダー「This is Fukushima これが福島です」を毎年製作してエリザベス女王ら各国の要人に贈ってきた。猪苗代湖や、あづま総合運動公園(福島市)のイチョウ並木などの本県の美しい風景写真や、小中学生のイラストを使ったカレンダー。東京電力福島第1原発事故の風評払拭につなげたいとの思いだった。

 これまで、女王側から8通の手紙が届いている。1月の手紙は女王の関係者が「女王から感謝を伝えてくださいと頼まれた」としたため、本県復興に対する女王の言葉を紹介している。スプリッグさんは「地震と津波からの福島の発展を喜んでくれた。全ての人や国を思いやる女王だ」と目頭を押さえた。「福島県はきれいで、安全な場所ということをこれからも伝えていく」。女王の思いを胸に活動を続けていくことを誓った。

 ピンクのバラささげる 本宮副市長

 英国にある福島庭園10周年記念式典などへの出席のため、英国を訪れている本宮市の渡辺正博副市長は9日、ロンドンのバッキンガム宮殿を訪れ、献花した。

 渡辺副市長は6日から英国を訪れており、訃報が届いた8日は、訪問先で英国関係者が悲しむ様子があったという。渡辺副市長は同行している市国際交流課の職員4人と共に宮殿を訪れ、ピンクのバラをささげ、手を合わせた。

 高松義行市長は「市民を代表してご冥福をお祈りする。世界中から敬愛された陛下のお人柄をしのび、これまでの市と英国との交流に深く感謝する」と悼み、「(同市の)英国庭園を大切に守り育てていきたい」とコメントした。

 写真にメッセージ添える ブリティッシュヒルズ

 英国文化が体験できる天栄村の宿泊施設・国際研修センター「ブリティッシュヒルズ」は9日、中心施設「マナーハウス」に女王の写真を置き、追悼メッセージを添えた。同施設で英語を教える英国出身のトム・レントンさん(36)は「女王は庶民と距離が近い人だった。女王には心から感謝している」と話す。

 消防士だったレントンさんの父が退職する際、エリザベス女王が勤務先の消防署を訪問したことがあったという。「長きにわたって国民のために働いてくれてありがとう」と父らと握手を交わした出来事を、レントンさんは鮮明に覚えている。

 70代を過ぎても馬に乗るなどパワフルで、慈善活動にも積極的だった女王の姿が強く印象に残っているという。「クリスマス恒例のスピーチは、多くの英国民が静かに聞き入っていた」としのぶ。ブリティッシュヒルズの森雄三社長(66)は「女王の在位70周年を祝うイベントを6月に行ったばかり。残念でならない」と惜しみ、「今後も日本と英国の架け橋となり、英国文化の素晴らしさを伝えていきたい」と語った。

 「英国とのつながり大切に」

 女王の孫のウィリアム王子が2015年に本宮市を訪問したことをきっかけに整備された英国庭園があるプリンス・ウィリアムズ・パークでは、関係者がエリザベス女王に思いを寄せた。英国関連グッズを扱う「まぁぶるローズ」の店主大内都さん(73)は「エリザベス女王は私が小さい時からご活躍をされているイメージで訃報はショックだった。交流を深める英国とのつながりを大切にしていきたい」と話した。