【只見線再開通】会津横田駅/遊休農地「笑顔」咲く 景観守る活動

 
「自分たちのできることを」と花を植える栗城さん。ヒマワリはしぼんだが、コスモスが咲き始めている

 金山町にあるJR只見線の会津横田駅前で8月下旬、降り注ぐ太陽光を浴びたヒマワリが、まるで笑っているかのように花を咲かせていた。「草がボーボーではねえ。自然が豊かと言っても荒れているんじゃ駄目だよね」。地元の上横田農用地利用改善組合に所属する栗城元一さん(75)は、仲間たちと駅周辺に花を植えている。

 組合は約15年前、遊休農地を活用して田んぼや畑を守っていこうと、JA職員だった栗城さんが旗振り役となって結成された。メンバーは少しずつ増えて現在は7人。コメのほか、エゴマなどを栽培している。

 地元に駅があるのだから再開通を前に自分たちができることを何かしよう―。そんな思いから遊休農地に花を植え始めた。春は菜の花、夏はヒマワリ、秋はコスモス。「季節の移ろいに応じて車窓からの景観を楽しんでもらえるように」と植栽や草刈り作業に汗を流す。「(只見線が全線で再開通する)10月1日はヒマワリの季節じゃないけれど、コスモスが咲き始めてきれいだよ」。栗城さんたちの活動は花開いている。

 「汽笛を聞くと『おかえりなさい』という感じがする。再開通は本当にうれしい」と栗城さん。ただ、不安がないわけではない。

 上横田地区にはかつて二十数軒の農家があったが、人口減少と高齢化により農業に携わるのは組合のほかに3軒ほど。農業用機械は高額なため、今の農機が使えなくなったら農業をやめようと考えている人もいるという。人口減が続く中、地元住民が生活路線として只見線を利用するだけでは到底、活性化につながらないことは分かっている。県や市町村による観光誘客の取り組みもまだ見えてこない。「本当に乗客が増えるのか」。心配が先に立つ。

 再開通に伴うイベントなどを通して、しばらくは利用者が増えるだろうが、果たして先行きはどうなっていくのか。将来に戸惑いながらも、栗城さんにはやるべきことが見えている。「路線の景観はね、春夏秋冬きれいなんですよ。田んぼもそうだし。せめて自分たちの集落の景観を守らないと。われわれができることはこれぐらい。そして、後につないでいかないとね」

 豪雨災害を乗り越え、只見線の線路が再びつながったように、只見線や地元を守る気持ちが次世代につながってほしいと願う。「再開通して良かった」。栗城さんは10年後にこんな言葉が聞けることを期待している。

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 会津横田駅 1963(昭和38)年8月20日、電源開発から譲渡を受けた路線の延伸開業に伴い新設された。待合所がある無人駅。駅から徒歩2~3分の只見川では夏の夕方になると川霧が見られる。町内に2校ある小学校のうち、横田小の最寄り駅。