【只見線再開通】会津大塩駅/天然炭酸水や温泉...再興の夢湧く

 
微炭酸の天然炭酸水の感触を味わう馬場さん。現在の来場者はほとんどが車だが只見線に乗ってくる人たちが増えることを願う

 全国的にも珍しい、天然炭酸水が湧き出る金山町大塩地区。天然炭酸水の井戸から車で数分の場所に、JR只見線の無人駅、会津大塩駅がたたずむ。大塩天然炭酸水保存会の会長で、大塩温泉組合の組合長も務める馬場清次さん(76)は「家族で列車に乗ってきて、炭酸水を味わい、次の列車まで大塩温泉に入る。そうなるといいね」と願う。

 約60年前から大塩地区に住み、高校時代は通学で只見線を使っていた。冬は大雪でディーゼル機関車が動かなくなり、帰宅後に呼ばれて線路の雪かきを手伝うことがあったという。

 只見町出身の妻武子さん(79)は実家に帰る際に只見線を利用していた。「子どもが幼い頃。子どもをおんぶして駅に行き、列車に乗り遅れそうになると、止まって待っていてくれた」。古き良き時代の思い出話は、只見線と地域の強いつながりを感じさせる。

 3年前まで町議だった馬場さん。2011年7月の新潟・福島豪雨で只見線が被災した時に、最終的には廃線になるだろうとの考えが頭をよぎった。「日本一の赤字路線だから復旧は無理だろうと思っていた」。賛否両論あることは分かっているが、それでも再開を望む地域の声や団体の活動を目の当たりにして、どうしても復旧させたいという思いが湧き上がった。

 町議を引退しても、只見線再開通への思いがしぼむことはなかった。今年5月には「大塩駅周辺をきれいにしたい会」をつくり、草刈りや花の種植えなど環境整備を続けている。会員は10人ほどだが、趣旨に賛同した県外の人たちが協力し土地を貸してくれる友人もいる。ヒマワリやコスモスの栽培面積も増えてきた。

 再開通する区間では、10月1日の運行に向けて連日試運転が行われている。列車の音が聞こえると、外に出て車両に手を振るのが2人の日課だ。雨が降っても1日1回は必ず手を振っており、「向こう(列車)も汽笛で応えてくれる」という。

 「天然炭酸水という、これほどのものがあるのだから、みんなに来て見てもらいたい。そしてあちこちから来た乗客に『いい列車だな』と感じてほしいね」。今、馬場さんが頭に描くのは、かつて炭酸水を目当てに年間1万人を超える人が訪れた大塩地区の再興だ。

          ◇

 会津大塩駅 下り線では金山町最後で、只見町に一番近い駅。無人駅。天然炭酸水は古くから知られ、明治期には旧会津藩士が「太陽水」と命名し白磁の瓶に詰め薬店に卸していたという。青みがかった濁り湯の大塩温泉は美人の湯として知られる。