海洋放出の風評被害賠償「業種、地域限定せず」 東電社長考え示す

 

 東京電力の小早川智明社長は13日、福島第1原発で発生する処理水の海洋放出により風評被害が生じた場合、業種や地域を限定せずに賠償する考えを示した。東電として初めて年内に賠償基準を公表する方針も表明。基準策定に向けては風評の影響が想定される幅広い業種の意見や要望を尊重すると強調した。損害を立証する際の被害者側の負担の低減など、円滑な賠償につながる仕組みを構築できるかが焦点となる。

 県原子力損害対策協議会(会長・内堀雅雄知事)が13日、東京都内の東電本社で海洋放出に伴う賠償基準の早期策定などを求め、小早川氏が賠償の対象などについて言及した。東電によると、対象として漁業以外に農林業や商工業、観光業など幅広い業種を想定しており、業種ごとに賠償基準を策定する方向で政府と調整する見通し。

 小早川氏は基準策定に向け「(対象と想定される)関係者の意見を重く受け止める」と要望を重視すると強調。基準公表前に、関係者に賠償に関するおおまかな方向性を中間報告し、課題などについて再び意見を聞いた上で「関係者の納得」が得られる内容とする考えを示した。

 東電のこれまでの賠償対応について、協議会副会長で県商工会連合会の轡田倉治会長は「(請求に際し)小規模零細企業は難しい書類を作成することができない」と、損害を立証する被害者側の負担が大きいと指摘した。小早川氏は「より簡易で適切な対応に努める」と述べ、単価などの統計データを使って海洋放出に伴う損害額を推測する手法を探るとした。

 海洋放出に関する賠償基準を巡っては、政府が8月に風評対策や賠償に関する行動計画を改定し、年内に基準を取りまとめるよう東電を指導する方針を盛り込んだが、東電は基準公表の時期などを示していなかった。

 要請活動をした協議会長代理の鈴木正晃副知事は「小早川氏からも年内に公表するとの明言があり、(基準の策定は)確定した。関係団体と綿密に情報交換し基準を策定してほしい」と求めた。