観光地復活一歩ずつ 松川浦旅館街、再開努力 3月地震から半年

 
外壁の修理が続く「みなとや」の前に立つ管野さん。「みんなで力を合わせ、にぎわいを取り戻したい」と前を向く=相馬市

 福島県沖を震源とした3月の地震から16日で半年となる。最大震度6強を観測した相馬市の松川浦周辺の旅館街では、仮復旧を終えて営業再開にこぎ着けた施設も出てきた。ただ、施設の修理が進まず休業が続いている旅館も多く、関係者は「観光地・松川浦の復活に向け、少しずつ前進しているが、まだまだ先は長い」と厳しい状況を口にする。

 「客室を修理してお客さんを受け入れられるようになったが、外壁の修理は10月までかかりそうだ」。7月に営業を再開したホテルみなとや専務の管野芳正さん(48)は見通しを語る。

 市によると、8月1日現在、市内の旅館やホテル計36施設のうち、半数近い17施設で休業が続く。松川浦周辺にとどまらず、中心部の宿泊施設にも大きな被害が出た。各社は、グループ補助金などを活用した再建計画を練っている状況だ。

 3月の地震でみなとやは客室の壁が崩れ、大浴場の屋根裏の建材が落下して天井を突き破った。2011(平成23)年3月の東日本大震災では津波で1階が浸水し、昨年2月の地震でも3カ月ほど休業を余儀なくされた。「一つずつ切り抜けてきた。でも、やっと乗り切れたと思ったところで再び振り出しに戻される」と管野さんはため息をつく。

 それだけに、3月の地震直後は「また直して頑張ろう」という気持ちにはなれなかった。しかし、旅館経営者らと話し合う中で「このままでは松川浦が観光地として駄目になってしまう」との危機感を共有した。

 営業再開に向けてかじを切ると、団体客の予約が入っていた7月の相馬野馬追に照準を合わせ、急ピッチで修理を進めた。二つある大浴場のうち一つを復旧させ、宿泊客を受け入れられる状態まで館内を整えた。

 再出発の日、管野さんは地元で水揚げされたカレイの煮付けやタチウオ、ホッキ貝の刺し身などを食卓にのせ、宿泊客をもてなした。4カ月ぶりに耳にした「おいしい」という宿泊客の声に心底ほっとした。

 営業再開後も多額の修理費用、観光の足かせとなる新型コロナウイルス禍などがのしかかり、心配は尽きない。周囲で休業中の旅館が少なくないことも気がかりだ。管野さんは「自分たちの旅館だけでは人が来る松川浦にはならない。ほかの旅館や飲食店が再開できないと、にぎわいは戻らない。みんなで力を合わせ、にぎわいを取り戻したい」と力を込めた。(丹治隆宏)