高度人材獲得へ制度検討 岸田首相福島来県、国際研究機構で方針

 
浪江町を訪れ、福島国際研究教育機構の立地予定地を視察した岸田首相(左)=17日午後(代表撮影)

 岸田文雄首相は17日、浪江町への立地が決まった福島国際研究教育機構について「世界に冠たる創造的復興の中核拠点とするには国内外から優秀な人材を集めることが必要」と述べ、研究者の処遇や人事制度の整備とともに、魅力的なまちづくりを進めていく考えを示した。海外から技術や能力を有する高度人材誘致のため、受け入れ制度を拡充する方針も表明した。

 機構の立地予定地や南相馬市の福島ロボットテストフィールド、双葉町の町役場新庁舎を視察後、南相馬市で記者団に語った。福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想に関わる地元経営者らとの意見交換で「優秀な人材を集めるには魅力的なライフスタイルを提案する必要がある」との意見が出たことを踏まえ、首相は「設備や人事制度と魅力的なまちづくりを併せて行っていく」とした。

 政府は機構設立に伴い海外からも研究者を招き、地域振興や人口増加につなげる方針だが、各国とも優秀な外国人人材を獲得するためしのぎを削っている。首相は「福島にも人材を引き付けなくてはならないが、世界に目を転じるとシンガポールやインド、ニュージーランド、フランス、英国などでさまざまな制度を取り入れている。日本も努力を続けているが、世界の状況をみるとまだ足りない」と説明。「制度面の人材受け入れと、質の高い生活環境を柱として人材獲得に努力する必要がある」とし、制度の創設や既存制度の改正を視野に、制度を拡充する方針を示した。

 また機構の成果を広範囲に広げる取り組みを重視する考えに改めて触れ「研究開発、産業化、人材育成をまずは浜通り全体に、そして福島県全域に広げ、さらに日本全国、世界に波及させていく発想が重要だ」と強調した。

 新興企業創出「参考に」 5カ年計画策定

 岸田文雄首相は17日、南相馬市の福島ロボットテストフィールドで行われた意見交換で、政府がスタートアップ(新興企業)の創出に向けて策定する「5カ年計画」に、浜通りでの先端的な取り組みを盛り込む考えを示した。

 意見交換には、震災後に浜通りで起業した人や移住者、学生ら5人と内堀雅雄知事が参加し、浜通りを「スタートアップの先進地」とするため、魅力的なまちづくりや福島国際研究教育機構との連携を求めた。

 首相は、社会的課題の解決とビジネス発展の両立に向けて努力する起業者らの姿勢と、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の考え方とが共通していると説明。「取り組みを5カ年計画などに取り入れ、参考にさせていただく」と述べた。

 政府は「新しい資本主義」の重点分野として今年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、強力な支援で新興企業の成長を後押ししていく方針を決定。新興企業への投資を5年で10倍に増やすことを視野に「5カ年計画」を年末に策定する。

 首相は同テストフィールドで、離れた場所で作業できる「アバターロボット」の操作も体験し、人を乗せて空を飛ぶ「空飛ぶクルマ」のコックピットに乗車した。