無職者、震災前の2.6倍 双葉郡8町村住民調査、生活再建進まず

 

 立命館大と東大、福島大の研究チームが双葉郡8町村の住民を対象に昨年12月に実施した双葉郡住民実態調査で、働き盛り世代など生産年齢(15~64歳)の無職者の割合は、震災前の約2.6倍に当たる25.3%だった。調査時の全国の生産年齢人口の完全失業率は約2.8%で、研究チームは「震災から10年以上経過しても仕事による生活再建が依然として進んでいない」と分析している。

 研究チームが22日発表した。調査は2011年、17年に続き3回目。震災から10年が経過したことを踏まえ実施した。町村の協力を得て調査票を送り、8295世帯から回答を得た。回答率は30.5%だった。

 震災前後の職業を見ると、生産年齢では正規の職員・従業員が62.1%から45.6%に減り、無職は9.8%から25.3%に増えた。現在の生活設計(複数回答)は年金・恩給(59.3%)、勤労収入(34.2%)、預貯金(34.1%)の順に多く、東電からの賠償金については約9割が「過去に受け取ったが現在は受け取っていない」と答えた。

 研究チームは「仕事や住まいについては2回目の調査と傾向が似ており、4年たっても生活再建が進んでいない状況が見られる」としている。

 また、震災直後の1回目の調査と比べ、被ばくによる健康影響などへの不安感は減少したが、「被ばくによる子、孫の将来が不安」「自分、子、孫などの結婚、出産など被ばくに関する差別・偏見が不安」などの項目では約3割が「強く当てはまる」「やや当てはまる」と答えた。一方、「地域のつながり、交流が薄くなった」で約7割、「原発の廃炉までに事故が起きないか不安だ」で約6割が当てはまると回答しており、長引く避難生活で地域や知り合いとの関係性、将来の廃炉に向けた安全性などにも不安を感じている割合が高い傾向にあった。

 医療充実求める声多く

 調査では、今後の双葉郡の復興に必要な政策として、高齢者施設や医療施設の整備・充実(59.4%)や若い世代の働き先の確保(55.6%)を求める声が多かった。

 ほかには着実で安全な廃炉作業(53.3%)、双葉郡全体の復興計画作り(45.7%)などの回答が目立った。
 また「震災から10年を振り返って、気持ちにあるもの」とする設問(複数回答)では、「賠償制度に納得いかない」(38.0%)、「故郷には帰れないと諦めている」(37.1%)を選んだ人が多かった。