検知器義務化、企業対応急ぐ アルコール検査、施行は当面延期

 
従業員のアルコールチェックをする高橋社長(左)=福島市

 道交法施行規則の改正で一定台数以上の「白ナンバー」の車を使用する安全運転管理者選任事業者に、アルコール検知器を用いた運転者への検査が義務化される。当初、10月から始まる予定だったが、警察庁は今月、検知器が市場に流通する見通しが立たないことなどから延期を正式決定した。期間は未定。県内の事業所は全国的に不足している検知器の確保や従業員の意識徹底など対応を急いでいる。

 記録は1年保存

 「もう法律で決まったことだ。われわれはやるしかない」。高橋設備工業所(福島市)の高橋良行社長(60)は準備を着々と進めている。

 今回の改正では、白ナンバーの車5台以上または定員11人以上の車1台以上を使用する事業所に、運転前後の酒気帯び検査が義務化された。4月からは目視で、義務化されてからは検知器を使った検査が必要となり、記録は1年間保存する必要がある。

 同社は車両17台を保有し、従業員数は21人。アルコール検知器を何とか入手し、4月から一足早く検査を始めた。朝礼と夕方の従業員の帰社時に、社内に配置した安全担当者と安全運転管理者が体温や面談で顔色を確認し、アルコールチェックを行う。現場事務所を置いている本社以外の場所でも検査をすることがあり、その際はベテランの従業員が同様に検査してチェックシートに書き込む。その後、安全担当者がデータとして打ち込む流れだ。

 費用負担大きく

 業務が増えたかのように見えるが、新型コロナウイルスが流行し始めた際に導入した従業員の体温チェックと比べるとスムーズだという。高橋社長は「検査を始めたことで従業員の意識が変わりつつある。深酒をする人も少なくなっている」と効果を挙げた。ただ費用負担は大きく、購入した検知器は1年または千回という使用目安があり、定期的な買い替えが必要になってくるという。

 半導体不足影響

 検査が延期される大きな要因となったのが全国的な検知器の不足だ。多くの事業所で確保が課題になっている。国内の主要製造メーカーでつくるアルコール検知器協議会(千葉県)によると、世界的な半導体不足などで部品が不足している状況にあるという。

 協議会は10月1日までに市場が求める台数の確保は不可能とした趣旨の意見書を警察庁に提出しており、協議会の担当者は「延期が決まった7月から大きく好転している状況ではない。安定した供給についての見通しを示すのは現時点で難しい」と明かした。

 道交法の改正に、県内の事業者が反応している。県警によると、県内で安全運転管理者を選任している事業所は6月末現在で約8400ある。昨年同時期の約7600事業所と比べて1割ほど増加した。県警は「法律制定を背景に各事業所で飲酒運転の撲滅などに向けた意識が高まり、安全運転管理者を置くようになったのではないか」と分析する。県警は今後も、安全運転講習などの機会を捉えて周知を図り、飲酒運転の根絶や事故防止につなげたいとしている。(報道部・影山琢也)