スマート農業、担い手の光に 修明高生が実習、先端技術を体験

 
指導者の指示を受けながら、定植機に乗り苗を植える修明高生=棚倉町

 農家の高齢化や担い手不足が課題となる中、修明高が先端技術を取り入れた農機具などを使ったスマート農業の実習に力を入れている。実習に参加する生徒からは「農家はきついというイメージが変わってきた」と好評だ。県もスマート農業を推進していて、次世代を担う農業人材の育成や担い手不足の解消などにつながるか注目される。

 棚倉町に広がる修明高の社川農場。実習に汗を流すのは生産流通科2、3年生14人だ。約30アールの畑を耕すトラクターには衛星利用測位システム(GPS)機能が備わっていて、乗り込んだ生徒はハンドルを動かさなくても自動で進む仕組みに目を見張った。「機械を使えば効率よく農業ができることが分かった」と橋本恭汰朗さん(2年)は新たな発見に胸を躍らせる。

 トラクターで畑を耕した後、生徒たちは一定の間隔を保ちながら苗を植える定植機を使い、約1万本のハクサイの苗を植えた。手で植えるより大幅な時間短縮になり、諸岡優雅さん(3年)は「これなら高齢者でも時間をかけずに苗を植えられる」と驚く。

 修明高がスマート農業の実習に力を入れるのは、県教委が進める県立高校改革や社会のニーズの高まりがある。同校は来年度、白河実高農業科を集約し、県南地方の農業教育の拠点校になる。先端技術を活用する教育を行うことで農業に興味を持ってもらい、若手の就農人口を増やしたい考えだ。実習には農業に関わる吉野家ファーム福島とカタノ(いずれも白河市)が協力している。またスマート農業は全国的に推進する動きが出てきているほか、県が2021年3月に「スマート農業等推進方針」を策定。21年度末時点で676あるスマート農業の経営体を、25年度までに810にする目標を掲げている。

 ただ、実際にスマート農業を導入するにはさまざまな課題がある。吉野家ファーム福島専務の滝田国男さん(65)によると、関連機械の単価が高く、初期投資がかかるという。技術を使いこなす知識が必要なほか、電波を活用する機械は通信環境に左右されることもあり、山間部や気象状況によっては機械が正常に作動しない恐れもある。滝田さんは「小規模農家が導入するにはハードルが高いのでは」と懸念する。

 課題はあるが、生徒たちはこれまでの概念を変える技術に目を輝かせ、前向きに捉えている。実習は11月まで行い、ドローンを活用した空中からの肥料散布も行う予定。収穫したハクサイは白河市の飲食店に販売する見通しだ。実習を担当する江川篤教諭(44)は「スマート農業は耕作放棄地などの有効活用にもつなげることができる。生徒たちの学びが深まれば」と農業の間口が広がることを期待している。(横田惇弥)