県内河川サケ漁「今年こそ豊漁」 近年不漁続き...遡上回復に期待

 
川に入りサケ漁をする組合員 =楢葉町・木戸川

 県内の河川でサケの遡上(そじょう)が本格化してきた。近年は不漁が続き、昨年はサケの販売を中止せざるを得ない漁協などもあった。稚魚の放流など遡上数の回復に向けた取り組みを続ける関係者は「今年こそ」と期待を寄せる。

 「今年は(10月の)漁獲量が100匹を超え、昨年を上回っている」。東日本大震災前、本州有数のサケの遡上地として知られた楢葉町の木戸川。木戸川漁協鮭(さけ)ふ化場長の鈴木謙太郎さん(40)は今季の豊漁を願う。

 木戸川では今月中旬、サケ漁が解禁された。組合員が川幅いっぱいに網を広げて追い込む「合わせ網漁」でサケを捕獲する。昨年は遡上数が少なく、10月中の漁獲量は82匹にとどまったが、現時点では昨年を上回る。

 漁協によると、木戸川では震災前、毎年10万匹前後の漁獲があった。しかし、震災の津波で一部のふ化施設が流され、東京電力福島第1原発事故の影響で4年間、稚魚の放流もできなかった。2015(平成27)年に漁を再開したが、漁獲数は震災前の10分の1にも届かず、昨年は246匹に落ち込んだ。

 サケ復活に向けて漁協は今年、山形県から仕入れた卵をふ化させて放流する取り組みを実施。今年は震災後2番目に多く放流した稚魚が戻る年に当たるという。鈴木さんは「今は継続して放流できる体制を整えることが大事。徐々に遡上数を増やしたい」と話す。

 木戸川を含む県内のサケの漁獲量は近年、大幅な減少が続いている。県水産海洋研究センター(いわき市)によると、県内11河川のサケの成魚の捕獲数は【グラフ】の通り。震災前の10年度は12万匹ほどだったが、翌年は約5万7千匹に減少。19年度以降は6千匹を下回る。水産庁の有識者検討会は昨年6月、地球温暖化が不漁の一因とする報告書を取りまとめた。報告では、海水温の変化や海流の変化で稚魚が育ちにくくなっているなどとした。漁獲量や回帰率は長期的に減り、特に本州太平洋側の減少幅が大きいという。

 昨年はサケの遡上が目立って少なく、一部ではサケの販売を取りやめるところもあった。相馬市岩子の宇多川下流にやなを仕掛ける宇多川鮭増殖組合の昨季の捕獲数は358匹。販売を見送り、採卵用に回すしかなかった。18年までの過去5年間は年平均約2万匹を漁獲していたが、やな場が流された19年10月の大雨の後、不漁が続く。

 組合の採捕責任者、稲村正夫さん(79)は「販売できる分が取れてくれればいいのだが」と話す。間もなく始まる今季の漁を控え、やな場付近の様子をうかがった稲村さんは「何匹か来ているようだ。何十年と稚魚放流も続けてきた。ここでやめるわけにはいかない」と力を込めた。

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