稲の発芽促す遺伝子解明 福島大研究グループ、新品種開発に期待

 

 福島大食農学類付属発酵醸造研究所の松岡信特任教授や吉田英樹特任助教らでつくる研究グループは、国産水稲品種の発芽を促す遺伝子「GF14h」を発見し、発芽を調節するメカニズムを解明した。種子の発芽を抑える休眠ホルモンを抑制する働きを特定し、稲作の栽培方法に応じた新品種開発につながるとしている。

 同大が2日の定例記者会見で発表した。研究グループによると、稲は品種ごとに発芽する早さや温度に対する反応が異なり、発芽を決定付ける因子は不明だった。研究グループは、古くからある稲や戦後普及した「コシヒカリ」「あきたこまち」など代表的な水稲164品種のゲノムDNAを解析、数ある遺伝子のうち「GF14h」が稲の発芽を抑える休眠ホルモン「アブシシン酸」の働きを抑制していることを突き止めた。

 吉田助教によると、GF14hは戦前の品種では活発な働きを見せたが、品種改良の進んだ稲では不活性化が進み発芽を抑えようとする傾向が見られ、「収穫前の長雨などで穂に付いたまま芽が出る『穂発芽』を抑えるため、GF14hが十分機能しない稲が農家に選択されていった」と説明した。

 研究結果は、水田で種から育てる「直播(ちょくは)栽培」に適した、発芽しやすい品種の開発などに活用が期待できるという。吉田助教は「ほかの作物にも似た遺伝子は存在する。機能も共通していると考えられ、発芽の制御に利用できる可能性がある」と話した。研究結果は英国の科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。