川本監督の遺志つなぐ 3年ぶり「ももりんダッシュ」、教え子疾走

 
(写真上)二瓶さん(前列右)ら川本さんの教え子でつくる「チーム川本レジェンズ」のメンバー。恩師への思いを胸に大会に臨んだ(写真下)参加者は30メートルの直線レーンで真剣勝負を繰り広げた

 30メートル走のタイムを競う大会「第16回ももりんダッシュNo.1」は3日、福島県福島市の福島駅前通りで3年ぶりに開かれ、参加者が特設トラックで真剣勝負に挑んだ。大会創設から関わり、福島大陸上競技部で監督を務めた川本和久さんが5月に64歳で亡くなってから初の開催となった。日本陸上競技界で輝きを放った川本さんの教え子が集まり、陸上に情熱を注いだ恩師の教えをつないでいく決意を新たにした。

 五輪出場を経験したり、日本記録を樹立したりした教え子たちが疾走した。福島大監督時代の川本さんから指導を受けた9人でつくる「チーム川本レジェンズ」が30歳以上女子の部に出場。かつてのトップ選手の姿に、観客から惜しみない拍手が送られた。

 「先生から頂いた多くを世の中に返すことが大事。楽しみにしている人が多いこの大会で、走りへの思いを伝えたかった」。元女子100メートルと200メートルの日本記録保持者で、福島市の笹谷小で教諭を務める二瓶秀子さん(51)はこう話し、駅前通りを走り抜けた。

 二瓶さんをはじめ、東邦銀行陸上競技部監督の吉田真希子さん(46)や、新潟アルビレックスランニングクラブのヘッドコーチ久保倉里美さん(40)、矢吹町職員の千葉麻美さん(37)ら9人は現役を退き、後進の育成などに力を注いでいる。

 久保倉さんは「スタートラインに立った時、現役時代を思い出すほど緊張した。川本先生の情熱が、大会に受け継がれているようでうれしかった」とレースを振り返った。

 陸上競技の普及と市街地活性化を目的とした大会は2007(平成19)年から、福島大の学生が運営主体となり、続いてきた。川本さんはMCとして大会の盛り上げ役も担っていた。

 吉田さんは「全力を尽くす大切さを伝えているのがこの大会。先生が築いてきた思いをより浸透させ、広げていくのが恩返しだと思っている」と話し、教え子らが川本さんの思いを引き継いでいく。

 370人ダッシュ

 大会には2歳~78歳の370人がエントリーした。参加者は沿道に集まった家族や友人ら観客の声援を力に変え、走りきった。

 福島大陸上競技部の学生が店舗名を背負って競走する「CMダッシュ」や、消防や警察、自衛隊による「緊急ダッシュ」などのミニコーナーもあり、会場を沸かせた。

 県スポーツ協会副会長の片平俊夫実行委員長(78)は「走りを楽しむ人たちの姿を見られてうれしい。秋を彩る風物詩として続いてほしい」と願った。