「松明あかし」本格復活へ一歩 須賀川で12日開催、3年ぶり有観客

 
松明の制作に取り組む清陵情報高の生徒たち

 福島県須賀川市の翠ケ丘公園五老山をメイン会場に12日に開かれる伝統の火祭り「松明(たいまつ)あかし」に向け、準備が大詰めを迎えている。過去2年は新型コロナウイルスの影響を受け、松明1本のみを立てて点火する縮小開催だったが、今年は拡大し地元の学校や団体などが制作した17本の松明を掲げる予定だ。観客を入れての開催も3年ぶりで、コロナ禍前まで延べ約13万人が足を運んだ伝統の祭りを巡り、地元の熱が高まっている。

 参加する清陵情報高では、地域の伝統文化に触れる「文化継承委員会」の生徒が中心となり、松明を制作している。「松明を作りたくて委員会に入った」と話す矢吹拓哉さん(18)は作業に力が入る。3年のため、高校の仲間との松明作りは今回が最初で最後だ。

 矢吹さんら委員会メンバーは松明の骨組み作りや、松明の材料となるススキなどを採取し、校内で乾かす作業などで汗を流す。

 「2年連続で参加できず、このままコロナで制作できないのかなと不安だった。松明を作れることが何よりうれしい」と笑顔を見せる矢吹さん。「ようやく形になってきた。本番で自分たちの松明が無事に燃えてほしい」。参加できなかった過去2年の思いを込め、準備を進めている。

 2021年と20年の1本だけの松明は、市民有志らでつくる「松明をもりたてる会」が作ってきた。会長の佐藤貴紀さん(48)は「松明を1本だけ立てるのは、正直寂しくもあった」と各団体の参加を喜んでいる。

 佐藤さんらメンバーは、今年も五老山に立てる高さ約7メートルの松明作りに励む。コロナ禍前の松明は25本程度で、今年は17本。完全復活までもう少しだ。「当たり前の光景がコロナで当たり前ではなくなっていた。伝統の祭りが少しずつ元に戻ればうれしい」と佐藤さんは期待を寄せる。

 今年は露店や大松明・姫松明行列などの実施は見送る一方、例年会場を盛り上げてきた「松明太鼓」が復活する。奥州須賀川松明太鼓保存会長の渡辺達雄さん(79)は「目標をなくし、メンバーが意欲を失いかけた時もあった。祭りが元に戻ることを願い、来年につながるステップにしたい」と強調する。

 練習時間の短縮や換気を徹底するなど、感染対策を図りながら本番に向けて調整してきた。会長の渡辺さんは「松明太鼓を楽しみに来る人も多い。迫力のある演奏を届けたい」と力を込める。

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 松明あかし 須賀川に攻め入った伊達政宗勢と、須賀川城主・二階堂家の合戦で命を落とした人々を弔うために始まったといわれ、約400年以上の歴史があるとされる。