イノベ事業、新興企業支援85件に 政府方針追い風、拡充を検討

 

 浜通り15市町村でスタートアップ(新興企業)の創出を支援する福島イノベーション・コースト構想推進機構の事業「福島テッククリエイト」で、本年度までに85件の新たなチャレンジが始まった。機構はスタートアップ支援に力を入れる政府の動向を見て、浜通りでのスタートアップ創出をさらに加速するため支援の拡充を検討する。

 機構が8日、福島民友新聞社の取材に明らかにした。同事業は、試作品の開発や市場調査に最大1000万円を助成するほか、専門家が経営戦略などを助言し、アイデア段階から事業化までを「伴走型」で支援する。2020年度に始まり、これまでに85件を支援している。画像識別による無人決済システムや、豪雨時に河川の水位を予測する防災システムの開発など具体的な取り組みが進んでいる。

 政府は今年を「スタートアップ創出元年」と位置付け、強力な支援で新興企業の成長を後押ししていく方針で、新興企業への投資を5年で10倍に増やすことを視野に、年末に「5カ年計画」を策定する予定。福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想により先端技術の集積が進む浜通りを「スタートアップ創出の先進地」化とするため、実証フィールドの整備や新技術の実用化開発の重点支援、新興企業の呼び込みなどの支援を強化する方針を示している。

 機構はこうした動きを追い風に、支援の拡充などを検討し、さらに動きを加速していく考え。

 「教育機構と連携強化」 移住支援センター長ら意向

 福島イノベーション・コースト構想推進機構の蘆田(あしだ)和也事務局長と、ふくしま12市町村移住支援センターの藤沢烈(れつ)センター長は8日、福島民友新聞社の取材に、政府が来年4月に浪江町に設立する福島国際研究教育機構との連携を見据えた取り組みを強化する考えを示した。

 同教育機構はイノベ構想の核となる拠点として整備される。蘆田氏は福島ロボットテストフィールド(南相馬市)など既存の研究拠点や地元企業との連携の重要性を指摘。「さまざまな形で連携して地域全体を盛り上げ、それを地元の人たちに実感してもらうような状況をつくりたい」と述べた。藤沢氏は「機構設立への期待は大きい」とした上で「(研究者ら)この地域に来た人たちに住み続けたいと思ってもらう環境をつくっていきたい」と語った。

 同教育機構は約50の研究グループに国内外から数百人が参加する構想で、家族や職員、関連企業の従業員を含めた居住が期待される。設立に当たり、国や県は、効果を浜通りや県全域に波及するための対策の具体化を急いでいる。