会津若松市が職員を刑事告訴 児童扶養手当など1.7億円詐取

 

 福島県会津若松市で多額の使途不明金が見つかった問題で、市は9日、障がい者支援課の副主幹(51)が2007(平成19)年度から昨年度にかけ、児童扶養手当など総額約1億7700万円をだまし取っていたと発表した。市は7日付で副主幹を懲戒免職処分にし、会津若松署に詐欺容疑で刑事告訴した。

 市によると、元副主幹は19~昨年度に児童扶養手当約1億1069万円、昨年度に子育て世帯への臨時特別給付金60万円、07~09年度に重度心身障がい者医療費助成金6571万円を詐取していた。いずれも過去の申請者の名前を使って虚偽の振り込みデータを作成するなどし、自分の預金口座に振り込ませた。

 このうち、児童扶養手当を詐取した手口は【図】の通り。管理システムに本データとバックアップデータがあり、改ざんしても痕跡が残らないバックアップデータの内容を書き換え、金融機関用の振り込みデータを作成していた。

 元副主幹は市の調査に「親族の借金を肩代わりし、返済に苦労していた」「競馬や宝くじの購入、車のローンの返済に使った」と話しているという。

 元副主幹は今年4月、児童扶養手当の給付事務を担当するこども家庭課から障がい者支援課に異動。こども家庭課の後任職員が6月、児童扶養手当の実績報告書を作成していたところ、書類上の支給額と、実際の支給額が一致しないことに気付いたため、市が内部調査を進めていた。

 市はこれまでに元副主幹が詐取した約1億7700万円のうち、9112万円を回収した。未回収の約8588万円についても弁済に向けた誓約書を受けており、全額回収を進める。

 室井照平市長は9日、記者会見し「市民に多大な迷惑、心配をかけたことをおわびします」と陳謝した。

 リーダーの立場悪用

 元副主幹は、子どもに関する給付業務を担うグループのリーダーの立場を悪用し、第三者のチェック体制を緩めていた。

 市によると、児童扶養手当の支給業務はもともと主担当が処理したものを副担当とグループリーダーが確認し、課長が決裁していた。

 異動2年目から主担当とリーダーを兼ねた元副主幹は、事務処理に携わる職員を1人減らした。さらに副担当には入庁1年目や異動1年目で経験が浅い職員を充てており、市は「不正が発覚しにくい状態をつくっていた」と説明した。

 元副主幹は市の聞き取り調査に、動機について「不正の方法を思い付いて魔が差した」「不正はやる気になればできる」と語ったという。市は調査で、金融機関が発行する取引履歴の書面の提出を求めたが、元副主幹は書類を偽造して市に渡したことも分かった。

 記者会見で市の担当者は「反省を口にしているが、本当に反省しているのかは疑問だ」と繰り返した。