処理水30核種、評価へ 海洋放出巡り、東電が計画申請

 

 東京電力福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、東電は14日、放射性物質濃度が放出基準を満たしているかどうかの評価に用いる核種を、セシウム137やプルトニウムなど30種類とする計画を発表した。ただ風評抑制の観点から、トリチウムのほか、37種類についても自主的に測定を行い、数値を公表する。東電は同日、原子力規制委員会に認可申請した。

 県や福島第1原発が立地する大熊町、双葉町は、放出設備設置を了承した際、東電に対する要求事項として、処理水に含まれる核種を明らかにすることを盛り込んでいた。

 また、国際原子力機関(IAEA)の評価で、設計段階で多核種除去設備(ALPS)の除去対象となっていた核種全てを評価するのは「過度に保守的」と指摘されていたという。東電によると、評価対象を広げすぎると科学的な正確さが損なわれる恐れがあるという。

 評価対象とした核種は、事故当時に存在していた可能性が考えられる約1000種類から、時間の経過や現状の濃度などを踏まえ、30種類に絞った。ALPSで除去対象となっている26種類に加え、過去に検出したことがあるウランやセレンなど4核種を対象とした。

 東電の放出計画では、処理水を海水で薄める前に、トリチウムを除く放射性物質の濃度比の合算が「告示濃度限度」と呼ばれる基準未満であることを確認するとしている。自主的に測定する評価対象外の核種から異常な値などが出た場合には、評価対象の再検討を行うこともあるとしている。また、溶融核燃料(デブリ)取り出しなど、廃炉の進展に伴い、汚染水に含まれる核種に変化がないかどうかを確認するため、塩素36や鉄55など6種類を年に1回監視する対象とした。

 14日に記者会見した東電の担当者は、評価する対象を絞った理由について「安全を保障するには一定の保守性が必要だが、過度に保守だと現実離れとなる。一定のレベルで抑えることが必要だ」と語った。

 処理水影響「極めて軽微」...東電、環境評価も見直し

 東京電力福島第1原発の処理水放出方針を巡り、東電が14日に原子力規制委員会に提出した計画では、評価対象核種を30核種としたことに伴い、処理水を海に出した場合に人や環境に与える影響評価についても見直した。見直し前後ともに、人や環境に与える影響は極めて軽微であることに変わらないとした。

 東電によると、見直し前の影響評価は、実際には不検出の核種も含めていた。担当者は核種を30種類に絞ったことで「より現実に近い評価になっていると考えている」と述べた。

 また、東電が規制委に提出した計画には、処理水の希釈放出設備の運用開始後の組織体制も盛り込んだ。希釈放出設備の運転計画に関する業務は「ALPS処理水プログラム部」が担い、運転管理は「建設・運用・保守センター」が担当する。