沿岸漁業21年生産額24.8億円 福島県内、30年目標達成へ加速

 

 本県沿岸漁業の2021年の生産額が24億8000万円に上った。同年4月から本格操業に向けた移行期間に入り、おおむね計画通りの生産額となったが、震災前の10年(92億3000万円)と比べると27%にとどまる。東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に伴う新たな風評への懸念や本県沖地震で被災した市場の生産基盤の復旧などの課題がある中、県は30年に100億円以上とする目標の達成に向け取り組みを加速する。

 県が15日に福島市で開いた県水産業振興審議会で説明した。本県沿岸では原発事故後の12年6月から21年3月まで、操業日数や規模を限定した試験操業を行っており、生産額については12~17年の統計がない。本格操業への移行期間に入った21年4月以降は、漁業関係団体が計画的に増産を進めており、21年の生産額は県農林水産業振興計画(22~30年度)に掲げた目標26億円に近い値となった。

 県は、漁業団体への支援や正確な情報発信など消費者の安心の確保、資源管理しながら生産を拡大する「ふくしま型漁業」などの取り組みを進め、震災前の水準への回復を目指す。

 また、県によると21年の沿岸漁業の新規就業者は8人だった。新規就業者数は近年回復傾向にあり、毎年10人前後が就業しているという。県は本格操業を見据えて担い手の育成にも力を入れ、学生向けの体験教室や後継者を対象にした現場研修などを支援していく。

 審議会では、県内公設市場での県産水産物の取扱量の回復割合(20年)が25%と、目標(41.4%)を大幅に下回っていることも示された。震災後の操業自粛や他県船による本県水揚げ量の減少などで、県産水産物の生産量が減ったことに伴う販路縮小が大きく影響し回復が遅れているという。県は、宮城、茨城両県の漁業者が本県沖で操業する「入会(いりあい)操業」の再開に向けた協議を始めるなど、隣県との連携体制を強化する方針。

 審議会長に大越氏選任

 審議会では、会長に大越和加東北大大学院農学研究科教授、副会長に野崎哲県漁連会長を選任した。大越会長は「処理水の海洋放出が予定され、水産業への風評の影響が懸念される。水産業に関わる方々が安心して事業を営むことができるよう取り組むことが大切だ」と述べた。