楢葉に水酸化リチウム工場完成 国内初、EV需要で原料安定供給

 
完成した国内初の水酸化リチウムを製造する工場の施設の一部

 豊通リチウム(楢葉町)は、同町の楢葉南工業団地に車載向けリチウムイオン電池の原料となる水酸化リチウムの国内初の製造工場を完成させた。電気自動車(EV)の需要が高まる中、原料の安定供給を図る。試験製造を重ね、早ければ年内にもメーカーへの販売を開始する。16日、現地で落成式が行われた。

 工場では、アルゼンチンのオラロス塩湖の水から生産される炭酸リチウムと、国内で製造される水酸化カルシウムを混ぜ合わせ、化学反応で水酸化リチウムを製造。蒸発や結晶化を経て出荷する。生産能力は年間1万トンで、EV15万~20万台分の車載電池に相当する。海外への展開も視野に入れていくという。

 同社によると、温室効果ガス排出の実質ゼロ(カーボンニュートラル)の観点からEV需要の高まりとともに、これまでの原料よりも高品質でバッテリーの高容量化につながるとして水酸化リチウムが注目されている。同社は豊田通商とオーストラリアの資源開発会社オールケムが共同出資する形で2018(平成30)年10月に設立。総事業費約100億円で工場の建設を進めてきた。従業員約60人のうち、約40人が浜通りを中心とする地元雇用。

 落成式では神事やテープカットが行われ、関係者が工場の完成を祝った。式典後、豊通リチウムの西郷剛史社長は「品質の良いものを安定的に供給し、町民と共に楢葉から世界に事業を発展させていきたい」と力を込めた。豊田通商の貸谷伊知郎社長は「カーボンニュートラルに取り組む選択肢を広げる一つの手段になればうれしい」と展望を語った。