救急現場...搬送先決まらない 「ベッドいっぱい」断られることも

 
患者の受け入れ先の病院に電話をかける状況を実演する郡山地方消防本部の救急隊員。複数箇所に電話をかけることもある

 新型コロナウイルス感染者数の急拡大に伴い、県内の医療体制に影響が出ている。特に感染者の多い県北や県中地域などでは患者の搬送先がすぐに決まらないケースが増加。救急搬送困難事案が増え、20カ所以上受け入れを断られるケースもあった。担当者以外の職員が対応に当たるなど、救急搬送現場は対応に追われている。

 「患者の搬送を要請しても『ベッドがもういっぱいなんです』と断られる」。須賀川地方消防本部の担当者は現状を明かす。

 管内では最近、体調の異変を訴える救急の通報が増加。駆け付けた救急隊員が病院などに患者の受け入れを要請するが、断られるケースが相次いでいる。現場での受け入れ先確保に時間がかかるため、通信指令など別の業務担当者が一緒に搬送先を探すこともあったほか、搬送先が決まらず、症状の軽い患者を自宅に帰した時もあったという。

 郡山市によると市内では10月25日以降、8病院でクラスター(感染者集団)が発生。このうち3病院が救急受け入れを担う2次救急病院だったため、対応する職員の人員確保が難しい状況にあったという。「搬送先が決まらず、市外への搬送事例も出てきている」と郡山地方消防本部の担当者は話す。

 福島市消防本部によると、7~13日の救急搬送困難事案は20件(前週比13件増)。そのうち新型コロナによるものは6件だったという。

 医療機関に負荷

 県によると、県内の7~13日の救急搬送困難事案は前年比で225%。地域ごとの確保病床使用率(16日時点)は県北と県中地域で60%を超えているほか、新型コロナに関連して休んでいる医師や看護師は感染拡大前の6月と比べて443%になるなど、医療現場の負荷が高まっている。

 このまま感染者が増え続ければ、さらなる状況の悪化を招く恐れもある。郡山地方消防本部の担当者は「患者を搬送できなくなるケースは防ぎたい。そのためには感染などを未然に防ぐ『予防救急』が大事になるので、一人一人が心がけて行動をしてほしい」と呼びかけている。