古里のサケ養殖体験 南相馬・上真野小児童、伝統漁業に触れる

 
サケの採卵の様子を見学する児童ら

 サケの養殖に取り組む南相馬市の真野川鮭(さけ)増殖組合は17日、同市鹿島区のサケふ化施設で、上真野小児童を招いた養殖体験授業を開いた。サケの不漁が続く中、児童らが地元産業を守る取り組みに理解を深めた。

 授業は、児童にふるさとの伝統漁業を知ってもらい、河川の環境保全につなげようと同校が組合に依頼して実現。児童らが放流までの養殖の一連の作業に触れる。ふ化施設に児童を招いて授業をするのは初めてで、3、4年生約10人が参加した。

 組合員が真野川のやな場でサケを捕獲後、雌の腹から卵を取り出し、約7万粒に人工授精した。児童らは、いけすから出したサケを採卵場に搬入する作業などを手伝った。3年生の永林美紅さん(9)は「あんなに小さい卵から大きく育つなんて」と驚いた様子。4年生の稲葉晃大君(10)は養殖について「サケを増やすために大事なことだと思った。真野川のごみを減らして、きれいにしたい」と話した。

 真野川に遡上(そじょう)するサケは、急速に減少している。昨年の採捕数は351匹で、近年のピークだった2011(平成23)年の2万331匹の2%弱にとどまる。組合によると、気候変動による海水温上昇で回遊するサケが弱ったり、河川改修で遡上しづらくなったりして、自然産卵が難しくなっていることなどが背景にあるという。

 こうした中、同組合は東日本大震災や、やな場が流失した19年の東日本台風など相次ぐ災害を乗り越えながら、養殖活動を続けている。県鮭増殖協会の会長も務める紺野広顕(ひろあき)組合長理事(77)は「このままでは県内9河川でのサケ漁は半分しか生き残らない。人の手を加えることが必要だ」と養殖の重要性を説明する。

 同組合は今年、北海道から卵を購入するなどしながら、計150万匹の稚魚の育成を目指す。今月中は採卵を続け、来年3月に児童と共に稚魚を放流する予定。