コロナ第8波...救急医療対応困難「心痛む」 郡山・総合南東北病院

新型コロナウイルスの流行「第8波」に伴い、総合南東北病院(福島県郡山市)では新型コロナの感染者らで病床が埋まったり、スタッフが不足したりして、一般の救急医療まで影響が広がっている。人流が増える年末年始を見据え、現場で対応に当たる医師は「非常に厳しい状況だ」と危機感を募らせる。
「医療現場は逼迫(ひっぱく)していて、ほかの病院も同じ状況だ。言葉は悪いが救急患者が『たらい回し』となり、心を痛めている」。南東北病院救急集中治療科部長の比留間孝広さん(44)は、救急医療の危機的状況に警鐘を鳴らす。
比留間さんによると、新型コロナの第8波以降、南東北病院では新型コロナ対応の三十数床は連日ほぼ満床状態。スタッフの感染が相次いだ場合は、人員面から一般病床での患者対応も難しくなるため、救急受け入れを断らざるを得ないケースも出ている。近隣の病院も同じ状況のため、救急隊が会津若松市やいわき市の病院へ搬送する場合もあるという。
県によると、新型コロナに関連して出勤できない県内の医師や看護師は今月5~11日の1日平均で263.3人に上り、感染拡大前(6月)の10倍以上に急増した。
新型コロナの県内の確保病床使用率は今月に入り50%台後半~60%台を推移しているが、県は「スタッフ不足や、介護で人員を割く必要がある高齢患者が増えているといった事情がある。実際に使用できる病床は確保病床よりも少なく、実態はさらに厳しい」(新型コロナ対策本部)とみている。
南東北病院では消毒などの感染対策や検査などに関連したスタッフの負担も大きく、今後はインフルエンザとの同時流行も懸念される。比留間さんは「いつインフルエンザ感染者が増えてもおかしくない状況だ。昨年までと違い、今年は新型コロナが陰性であればインフルエンザの検査も必要となり、間違いなくスタッフの負担は増える」と指摘。その上で県民に「ワクチン接種や感染対策を進め、感染者を減らすことに協力をお願いしたい」と求めた。(大内雄)
搬送困難事案が過去最多
県によると、救急隊による医療機関への受け入れ照会回数が4回以上になるなどした県内の救急搬送困難事案は今月12~18日で過去最多の143件に上り、前年同期比で2.75倍となった。消防関係者は「管轄外への搬送が増えるなど、自分たちの医療圏でさばき切れない状況だ」と現状を明かす。
このうち郡山地方消防本部の12~18日の困難事案は41件で前年同期比6.83倍に増加。軽症患者からの119番通報も多いといい、担当者は「適正な救急利用と併せ、検査キットで感染の有無を自身で確認するなどして医療機関の負担を減らしてほしい」と呼びかける。
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