園児虐待防止へ、保育士の負担軽減が鍵 「つい感情的に」対応反省

 
おもちゃの消毒を行う幼稚園の職員。コロナ禍で業務の負担は増えたが「子どもたちの安全を思うと、手を抜けない」という

 保育士による園児への虐待など、いわゆる「不適切保育」が全国で相次いでいる。県内でも2020年に二本松市の認可保育所で園児への暴行事件が発覚。保育所や幼稚園は再発防止対策を進めるが、人手不足や新型コロナウイルス感染防止対策などで保育士の負担は増している。子どもたちの笑顔をいかに守るか。現場では試行錯誤が続く。

 「園児に何度同じ注意をしても直らないと感情的になり、きつい言い方になってしまうこともある」。郡山市の幼稚園で主任教諭を務める40代女性は、過去の対応について反省を感じるときもあるという。注意して泣き出す子どもの姿に「言い過ぎた」と感じれば、すぐに園児に謝り、叱った理由を丁寧に話すことを心がけてきた。新型コロナウイルス禍で遊具の消毒などの仕事が増え、クラスター(感染者集団)の発生にも神経をとがらせる必要がある。負担は増しているが「ようやく対応にも徐々に慣れてきた」という。

 人手不足が背景

 全国で不適切保育が相次いでいることを受け、政府は今月、全国の自治体や保育施設を対象に不適切な保育の件数や対応状況を把握する調査に乗り出した。来年2月までを期限に、自治体の相談窓口の整備状況や保育施設内で不適切保育を防ぐための手引が周知されているかなどを調べる方針だ。

 ただ、保育士の労働に詳しい福島大経済経営学類の三家本里実准教授は、保育士による虐待などが相次いでいる背景には「保育士の人手不足がある」と指摘する。保育士の余裕がなくなり、虐待につながる接し方をしてしまう場合があるという。さらに園児の年齢が低いほど発覚もしにくいといい「幼児であれば『あの先生は嫌』といった意思表示ができるが、乳児はそれができず、虐待が発覚しにくい」と発見の難しさを語る。

 コロナ禍も影響

 県私立幼稚園・認定こども園連合会の平栗裕治理事長は「(保育士は)子どもの命を守っていることを自覚しているはず。コロナ禍の影響などで余裕がなくなっているのかもしれない」と現場の苦悩を明かす。連合会では、危険予知や園児の接し方などを学ぶ研修会を定期的に開催するなど対策を進める。ただ、国が法律で定めた保育所における保育士の配置人数の基準について「70年前から法律がほとんど変わっていない」と話し、法改正による保育士の負担軽減の必要性も強く訴える。

 三家本准教授も虐待を少しでも減らすためには、保育士の働き方の改善が必要との考えだ。運営側に労働環境の改善を要求することや労働組合の結成など労使関係の改善も重要とし「働き方を変える以外に虐待の問題を防ぐのは難しい」としている。