東電社長、今春の処理水放出方針変わらず 設備設置工事に万全

 

 東京電力の小早川智明社長は5日、福島民友新聞社の取材に応じ、福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針を巡り、放出開始時期について「政府方針に従った形でのスケジュールで進めている」と述べ、今春ごろとする従来の目標は変わらないとの認識を示した。

 東電は、処理水放出設備のうち海底トンネルの放出口の「ケーソン」と呼ばれるコンクリート製構造物を海底に埋める作業を進めている。ただ、気象条件の影響を受けやすいため、完成時期が遅れ、放出が今夏以降にずれ込むとの可能性が指摘されている。

 小早川氏は設備設置工事について「確実に事故が起きないように進めなければならない」と強調。そのためにケーソン設置工事以外の作業工程を組み替えて調整したり、原発構外で組み立てた設備を搬入したりするなど、作業時間を短縮する工夫をすることで、設備完成が今春に間に合うよう進める意向を示した。

 放出による新たな風評への対応を巡っては「一番は風評が起こらないようにすること」と改めて主張した。一方で風評が影響し、消費が減少した場合に備え、経済界と連携した風評対策を進める考えも明らかにした。風評が発生した場合の賠償については「早期にちゅうちょなくできるかどうかが課題」とした上で、昨年示した賠償の基準に対する懸念があった場合は改善していく考えを示した。

 廃炉産業地元化へ人材育成

 福島第1、第2原発の廃炉に向けて東電は昨年、原子力分野で実績のある企業と連携し、2社の共同事業体を設立した。小早川氏は廃炉の産業化へ「さまざまなメーカーと共同事業体をつくりながら進める必要がある」とし、2社以外にも地元に根差した共同事業体を設立し、人材育成などを進めていくとの展望も示した。

 小早川氏は「社員だけでなく共同事業体も含めて人材を育成し(廃炉産業を)地元化していきたい」と語った。