東電社長「安全と品質を向上させる」 処理水や廃炉へ決意

 
(写真上)廃炉作業の安全と品質の向上への決意を語る小早川社長(写真中央)廃炉作業の進展状況を述べる小野最高責任者(写真下)賠償方針を説明する高原代表

 東京電力の小早川智明社長は5日の福島民友新聞社のインタビューで、福島第1原発で発生する処理水の海洋放出方針や廃炉作業について「地元の信頼を得るため、安全と品質を向上させる」と決意を語った。

 ―東日本大震災と原発事故から3月で丸12年になる。
 「12年間、福島の皆さまに苦労、負担、心配をかけており心からおわび申し上げる。しっかりと廃炉を進め、地元に貢献するためには信頼が不可欠。安全と品質を向上させ、さまざまな立場を超えて最善を尽くしていくような1年にしたい。処理水の問題を含めて安全、着実に進めなければ復興の足かせになってしまう。そうしたことがないよう着実に廃炉を進めていく」

 ―放出に向けた県民、国民の「理解」が進んでいるとはいえないのが現状だ。
 「安全性の証明が重要で、このため県から事前了解を得た際に受けた8項目の要請に対応していく。設備の健全性、運用の確かさを確認した上で、それがしっかりと実行できるというモニタリング(監視)と透明性のある情報発信が重要だ」

 ―現状は地元への理解醸成に力点が置かれていると感じる。
 「(風評を防ぐには)国内だけでなく、世界から日本、福島がどう見られているかが問題だ。東電も多言語でPRしていくが(第三者の)国際原子力機関(IAEA)によるモニタリングが非常に重要で、しっかりと情報を提供していく」

 ―原発事故による損害賠償について、原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が中間指針の第5次追補を決定した。東電の対応は。
 「今月中に(当社の賠償基準を)公表する予定で、事務作業や問い合わせが増えると思う。それに対する体制づくりも進めていきたい。県南地域と宮城県丸森町についても、これまでと同様の対応をしていく」

 小野氏「デブリへの対応順調」、高原氏「風評賠償しっかりと」

 東京電力の小野明福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者と高原一嘉福島復興本社代表も5日、福島民友新聞社の取材に応じた。

 小野氏は、福島第1原発2号機で年内に予定する溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的な取り出しに向け「対応は順調に進んでいる」との認識を示した。2号機のデブリ取り出しを巡っては、昨年に始める予定だったが、作業に使用する遠隔装置「ロボットアーム」の開発が遅れたことなどが理由で1年ほど遅れている。

 延期後はロボットアームの試験を続けており、小野氏は「ある程度計画通りの成果が出ている」と説明した。ただ、原子炉格納容器から放射性物質が漏れるのを防ぐ「隔離部屋」の気密性に課題があるとし、対策を進める考えを示した。

 1号機の内部調査では原子炉圧力容器を支える土台に損傷が見つかった。小野氏は「大きな地震によって大きな問題が起きることはない」との認識を改めて示した。今後、土台の中を調査する予定で、得られた情報を基に損傷について最終評価するとした。

 一方、処理水の海洋放出方針を巡っては、高原氏は風評が生じた場合の損害賠償に関し「間接的な被害、損害がある人にもしっかりと賠償する」と述べた。

 東電は賠償基準で、漁業や農業など5業種について統計データを用いて風評が発生したかどうかを判断する方針を示した。高原氏は「(基準で示したデータ以外も)要望があれば参考にしたい」と語った。