小規模生産の地域特産作物、産地回復後押し オタネニンジンなど

 
オタネニンジン

 福島県は会津のオタネニンジンなど「地域特産作物」の産地の回復に向けた取り組みを本格化させた。収穫までの期間を短縮する栽培技術の開発や生産資材の導入補助など生産者への支援と、需要拡大や販路確保の取り組みを両面で進める。政府が4月に設立する福島国際研究教育機構でオタネニンジンの栽培実績を踏まえた薬用作物の研究が検討されていることも見据え、生産規模の縮小が著しい地域特産作物の産地育成を後押しする。

 オタネニンジンは江戸時代から続く会津の特産物。従来、漢方薬の原料として台湾や香港への輸出が盛んだった。しかし生産者の高齢化などによって産地規模が縮小。東京電力福島第1原発事故に伴う輸出停止や風評被害が追い打ちをかけ、2012年には「会津人参農業協同組合」が解散。03年に42ヘクタールだった県内の作付面積は20年に4.7ヘクタールと10分の1に減少した。現在は会津を中心に25戸が栽培しているが、生産者の高齢化が進めば生産基盤が失われかねないという。

 県は、25年度までの4年間で作付面積を10ヘクタールまで拡大する目標を設定。種子の確保や生産資材の導入への補助に加え、飲食店と連携した料理の提供などの事業を進めている。

 オタネニンジンは収穫までに5年かかり、高度な栽培技術を要することも生産減の要因になっている。このため県農業総合センターが収穫までの期間を2年に短縮し「2年もの」を低コストで安定的に栽培できる技術を研究。福島国際研究教育機構でも、農林水産業分野で会津のオタネニンジンの栽培実績を踏まえ漢方薬の原料となる薬用作物の研究が検討されている。

 県によると、オタネニンジンの栽培地域は全国でも珍しく、産地形成しているのは本県や長野県にとどまる。

 健康志向の高まりで注目されていることもあり、県は生産基盤と販路を確立して産地力を強化できれば商機につながるとみる。

 県は、ほかに地域特産作物としてエゴマや山菜(栽培)の産地育成も進めている。本県はエゴマの栽培面積も全国有数だが、1戸当たりの作付面積が小さい。ほかの産地と比べると、1戸当たりの作付面積は本県の16アールに対し、埼玉県173アール、富山県52アールなどで、今後も生産者の高齢化などによって減少が危惧される。県内の生産者(20年度時点)は376戸、作付面積は計70.3ヘクタール。県はこれを25年度に96ヘクタールとする目標を掲げ、大規模な生産体系の普及などを進めている。

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 オタネニンジン 薬用ニンジンや高麗ニンジンなどとも呼ばれるウコギ科の植物。漢方薬として珍重され、ストレスによる食欲不振の鎮静や疲労回復、滋養強壮などに効能があるとされる。会津では300年以上前から栽培されている。