親切装う「グルーミング」 わいせつ目的...未成年者に接近、注意を

 
写真上=わいせつ目的を隠し、親しさを装って近づく「グルーミング」。SNSなどを通じて未成年者と徐々に信頼関係を得る手口が巧妙化している(写真と本文は関係ありません)

 インターネットの交流サイト(SNS)の普及により未成年者が性被害に遭う事件が全国で後を絶たず、福島県内でも犯罪に巻き込まれた例が出ている。わいせつ目的を隠し、親切を装って未成年者を手なずける「グルーミング」という手法も広がりつつあり、政府が法規制の検討を始めた。有識者は「(グルーミングを仕掛ける人は)未成年者の心の隙につけ込み、徐々に関係をつくり出す」と語り、未成年者の変化を見逃さないよう日頃の意思疎通の大切さを説いている。

 「最初は誰かと話したいという興味本位だった」。県内の20代女性は高校生の頃、SNSを通じて出会った男のことを振り返る。女性はSNS上で趣味など共通の話題で盛り上がると、男とやりとりを重ね、悩みを打ち明けるようになった。

 約3カ月後に東京都内で男と初めて会うことになったが「友達に会う感覚」だったという。当初は男と食事や観光を楽しんだが、次第に話題が変化し、性行為を持ちかけられるようになったという。女性は断って帰宅したが「恐怖を感じた。被害に遭わず、ほっとした」と胸の内を明かした。

 県内では、18歳未満と知りながら少女とみだらな行為をし、その様子をスマートフォンで撮影した男が昨年9月に有罪判決を受けた。裁判で男は、SNSを利用して少女に近づき、少女の相談に乗ったり、部活動や異性関係などたわいのない会話をしたりして信頼を得た後、少女に性行為を持ちかけた手口を明かした。

 県警少年女性安全対策課によると、2021年にSNSを通じて出会った少年少女が犯罪被害に遭ったのは20件。このうち約7割が性犯罪被害で、早期の防止対策が求められている。

 法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」がまとめた報告書によると、グルーミングの典型例は【表】の通り。主に▽SNSなどで親しくなる▽親や教師など子どもと近い関係にある人▽面識のない人が子どもに声をかけて徐々に親しくなる―の三つに分類される。

 被害者支援団体から法規制を求める声が上がっており、法制審議会で「グルーミング罪」の新設に向けた検討が進められている。

 子どもの心理などに詳しい新潟青陵大の碓井真史教授(社会心理学)によると、グルーミングは子ども特有の「恐怖心のなさ」「悩みなどを持つ不安定な精神」につけ込み、徐々に信頼関係や依存関係をつくる点が巧妙という。碓井教授は、ネット上の匿名性の高さを挙げ「大人も子どもも悪いことをしているという感覚が薄れる」と危険性を認識させる難しさを指摘する。

 性被害から未成年者を守るため、碓井教授は「被害に至るには何かしらの理由がある。日頃から家族らで会話を重ね、子どもを複数の目で見守ることが大切だ」と強調。その上で「未成年者に事例を紹介し、人ごとではないことを伝える必要がある」と訴える。(千葉あすか)

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 グルーミング 英語で動物の「毛繕い」などを意味する。わいせつ目的を隠し、親しいふりをして近づく行為。昨年10月の法制審議会(法相の諮問機関)の刑事法部会で「グルーミング罪」を新設する試案が示された。試案では16歳未満にわいせつ目的で面会を強要すると1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金を科すとした。実際に面会した場合はより重い2年以下の拘禁刑か100万円以下の罰金とする。