クマガイソウ繁殖分析法開発 福島大、絶滅危惧種の群生地保全へ

 
福島市水原地区にある日本最大級のクマガイソウの群生地

 福島大共生システム理工学類の山下由美客員准教授(63)と兼子伸吾准教授(44)らの研究チームは、絶滅危惧種に指定されているラン科の植物・クマガイソウの繁殖に関する遺伝的性質を分析する世界初の手法を開発した。この手法で国内20カ所の群生地を調べた結果、個体数を増やしやすい「種子繁殖」の可能性が高い群生地が福島市水原など6カ所にとどまることが分かった。チームは今後、種子繁殖が可能となる要因を解明し、保全につなげる。

 11日の同大定例記者会見で発表した。クマガイソウは種子繁殖のほか、地下茎でつながった「地下茎繁殖」で個体を増やしており、地下茎繁殖では環境の悪化や盗掘などにより群生地が絶滅する危険性が高まるとされる。チームはDNA鑑定の一つ「マイクロサテライトマーカー」を応用して新たな手法を開発。クマガイソウの葉のDNAを採取して調べ、群生地の繁殖が種子由来か地下茎由来かを分析した。

 種子繁殖全国6カ所

 チームによると、種子繁殖の可能性が高い群生地は福島市水原、飯舘村、北海道、岐阜県、千葉県の2カ所の計6カ所。今後、種子繁殖の群生地で種をまいて生育に必要な条件を調べる。良好な生育環境を維持するとともにほかの群生地での活用策も検討するという。

 さらにクマガイソウの成長に必要な菌の種類「共生菌」を樹立し、世界的にも成功事例がほとんどない種子繁殖技術の開発も目指す。山下氏は「スーパーで売られるような存在になれば保全に役立てる」、兼子氏は「大学近くに日本最大級の群生地(福島市水原地区)があったからできた研究。種子繁殖の実態解明の端緒となる」と話した。