「原発攻撃許されない」 福島大で放射能研究支援のベレメンコ氏

 
「どんな危機が起きても冷静にいることが重要だ」と話すベレメンコ氏

 ウクライナの国営特殊企業「エコセンター」の研究員で、福島大環境放射能研究所(IER)で研究を手伝っているドミトロ・ベレメンコ氏(39)が12日、福島民友新聞社の取材に応じた。ベレメンコ氏はウクライナの人々について「物資不足に寒さが加わり、厳しい暮らしが続いている。日本の皆さんも日頃からリスクを軽減させる準備をしておくことが重要だ」と訴えた。

 IERはウクライナの研究機関と共同で放射能汚染地域の有効活用について研究を進めている。現在、最終報告書を作成中だが、ウクライナ国内は通信環境に制約があり、やりとりが難しい状況だ。そこでベレメンコ氏が昨年12月中旬に来日し、チェルノブイリ原発周辺の放射線・環境モニタリング結果をIERに直接届けた。14日に帰国するベレメンコ氏は「データ整理や報告書作成が進展した」と振り返った。

 ベレメンコ氏は約6年間、原発周辺に設定された立入禁止区域の放射性濃度の監視に携わってきた。ロシア軍は昨年2月下旬から約1カ月にわたって原発を占拠。エコセンターのシステムや計測機器が壊され、データが失われたという。原発周辺では一時的に空間放射線量が上昇、原発事故後36年続くモニタリング測定が初めて途絶えた。

 ベレメンコ氏は「原発への攻撃は許されない。ロシア軍はテロリストだ」と非難し「今はロシア軍によって原発周辺に埋められた地雷の撤去が大きな課題」と述べた。

 ベレメンコ氏の自宅はロシア国境に近い農村地帯にあり、砲撃が相次いだ。知人はロシア軍による銃撃で亡くなった。「ほんの1年前まで、こんなことが起きると思っていなかった。だが常に落ち着いた行動を心がけてきた。非常時こそ冷静さが重要」と語った。