福島医大、竹之下理事長が3選 選考会議で選出、得票は及ばず

 
たけのした・せいいち 鹿児島市出身。群馬大医学部卒。福島医大病院長、器官制御外科学講座主任教授、先端臨床研究センター長などを歴任。2017年から理事長・学長。

 福島医大は13日、3月に任期満了となる理事長の選考会議を開き、次期理事長に現職の竹之下誠一氏(71)=2期=を選出した。任期は4月から3年。理事長は学長を兼ねる。

 選考会議は、教授ら学内の有資格者による意向投票の結果を経て次期理事長を選ぶ。有資格者894人による意向投票では、総投票数766票のうち理事長候補者として公示されていた竹之下氏が268票、紺野慎一副理事(65)が492票を獲得。紺野氏が得票数で上回ったが、その後の選考会議で竹之下氏が次期理事長に選ばれた。無効投票が6票。

 選考会議のメンバーは同大関係者や学外の有識者ら。同大は具体的な選考内容を明らかにしていないが、竹之下氏の実績などを評価したとみられる。選考規定では「意向投票上位3人の中から理事長を選考する」と明記されている。理事長候補者2人による意向投票は同大が法人化された2006(平成18)年以降、初めてだった。

 竹之下氏は福島民友新聞社の取材に「意向投票の結果を真摯(しんし)に受け止める。学内の意見を聞きながら課題を把握し、今後の運営に生かしていきたい」と語った。

 選考規定では、理事長の任期は「最長で2期6年まで。震災、原発事故後10年間に就任した理事長に限り3期9年まで」とされている

 竹之下氏に聞く 世界的知見、県民に還元

 福島医大の次期理事長に選出された竹之下誠一氏(71)=2期=は、福島民友新聞社のインタビューに「世界の知見や研究成果を地域と県民に還元し、本県の復興と未来の創造・発展に貢献する」と抱負を語った。(聞き手・編集局長 小野広司)

 ―選考会議に先立つ意向投票の結果への受け止めと、3期目の抱負は。
 「意向投票の結果を真摯(しんし)に受け止める。学内の意見を聞きながら課題を把握し、今後の運営に生かしていきたい。3期目はこれまで積み重ねた知見や経験、研究成果を将来世代にリレーし、発展させていく段階。世界の知見や研究成果を地域と県民に還元し、本県の復興と未来の創造・発展に貢献する。県民に寄り添いながら医療を提供し、健康を支える大学であり続ける」

 ―4月に浪江町に開設される福島国際研究教育機構で、医大は放射線科学・創薬医療分野と原子力災害に関するデータや知見の集積発信分野で参画する。
 「(放射性物質の)アスタチンを用いた悪性褐色細胞腫の治療薬の開発に取り組み、世界初の治験に入るなど成果が出ている。このような成果をほかのがん治療に応用するなど日本と世界をリードし、放射線の先端的医学利用や創薬技術開発などに取り組む。原発事故の経験から得られた教訓と治験なども生かす」

 ―新型コロナウイルス感染症への対応は。
 「全県横断的な組織として医大に設けた『COVID―19 入退院支援センター』による体制を継続し、最前線で県や各診療科と連携・調整を図って対応していく。重点項目を完遂するため人材を適材適所に配置し、適正かつ効率的な組織・業務運営を図る」

 ―健康長寿の県づくりに向けた取り組みは。
 「(医大の)健康増進センターは、本県版健康データベースから健康データを分析している。各地域や市町村の特徴、取り組むべき健康課題などを報告書にまとめ、教育に生かしたり保健師と対策を考えたりしながら役割を果たしていく」

 ―医師不足も課題だ。人材育成の取り組みは。
 「医大内に設けた地域医療支援センターが中心となって医師を派遣しており、今後も質の高い医療を提供する。医学部に開設した総合診療医センターでは地域医療に貢献する医師の育成を進めており、地域に根差し、世界に飛躍する医師の養成に努めていく」