処理水海洋放出、春から夏ごろ 政府方針、開始時期に幅持たす

 

 政府は13日、東京電力福島第1原発で発生する処理水処分に関する関係閣僚会議を開き、海洋放出の開始時期について「今年春から夏ごろ」とする方針を確認した。政府は2021年4月の放出方針決定後、放出開始時期を「2年後をめど」としていたが、放出開始までの工事や手続きの進行状況を精査した上で開始時期に幅を持たせた形となった。

 東電が第1原発構内や沖合で進めている放出設備工事の状況や、16日から始まる原子力規制委員会による放出設備の使用前検査、国際原子力機関(IAEA)の報告書の提出などを踏まえ、放出時期を春から夏ごろとした。西村康稔経済産業相は会議後の取材に対し「海洋放出に向け安全性の確保と風評対策の徹底、これに万全を期していきたい」と述べた。放出開始時期については「2年後程度をめどとした放出時期より遅れているという認識はない」と強調した。

 第1原発の沖合では、東電が岸壁から延びる延長約1キロの海底トンネルを建設中で、現在は処理水の放出口となる「ケーソン」と呼ばれる構造物を海底に埋める作業を行っている。海での作業は天候や海の荒れ具合の影響を受けやすく、昨年8月の設備工事の着手時に、完成が夏にずれ込む可能性を示していた。

 一方、放出開始に不可欠となる漁業者をはじめとする関係者や国内外の理解醸成に向けて政府は「福島の方々から、処理水放出は福島だけでなく全国の問題だとの指摘をいただいている」とし、全国的なテレビコマーシャルや新聞広告などを展開している。政府はこれらの施策について「理解醸成の取り組みが進展している」とするが、反対の姿勢を崩していない漁業者の理解を放出開始までに得られるかは不透明だ。

 西村氏は「放出直後のモニタリングの強化、被災地水産物の消費拡大などの環境整備の取り組み内容について、地元にも繰り返し説明していきたい」とした。本県での車座集会の開催も検討するとした。

 東電社長「春目指す」

 閣僚会議に出席した東電の小早川智明社長は会議後、政府方針について「国としてはさまざまなプロセスを総合的に勘案して幅を持たせたと認識している」と述べ「(東電として)工事の完成としっかりした運営のできる体制づくりについて引き続き春ごろを目指していく」との考えを示した。