「認知」を「理解」に 除染土壌再生利用計画、対話時間確保へ

 
対話フォーラムで設けられる「対話ボード」。参加者からの意見や疑問を書いた付箋が貼られるが、十分な回答時間は確保されておらず、対話の深化が課題となっている=2021年12月、名古屋市

 県内の除染で出た土壌の県外最終処分への取り組みとして、土壌を土木資材で再生利用する計画の認知度向上を目的に環境省が展開する「対話フォーラム」について、同省はより理解醸成に特化した事業の構築に向けた検討に入った。大人数での対話のほか、参加者間の議論を促す車座形式を想定する。県外で再生利用の実証試験の動きが本格化する中、計画の「認知」から事業実施に結び付く「理解」に昇華できるかが焦点となる。

 一方向的な形式

 対話フォーラムはおととし5月に初開催され、名古屋市や福岡市などで計6回開かれた。環境相や有識者らが登壇して再生利用の仕組みや県内での取り組みを紹介しており、環境省は「まずは(計画の)認知に注力している」と意義を強調する。これまで延べ3000人超が参加し、動画の視聴回数は昨年12月26日現在で計約1万2000回となっている。

 対話とうたうフォーラムの形式は序盤に再生利用などの計画を紹介した後、登壇者が見解を示す流れで進められる。参加者からの意見や疑問に応じる時間は中盤以降で、対話の時間は限定的なのが現状だ。

 反省点を見極め

 「本当の(意味での)対話は時間が取れていないと感じている」。対話フォーラムに毎回登壇する長崎大原爆後障害医療研究所の高村昇教授は、昨年11月中旬の環境省の会議でこう指摘した。別の有識者も「対話が一方通行では(参加者の)フラストレーションがたまるだけだ」と改善を求めた。

 環境省はこうした意見や、対話フォーラムの開催が全国の各地方単位で一巡する見通しであることを踏まえ、活動を刷新する考えを示した。対話の時間を確保するため、小規模集会も方法の一つとし、年度内に事業概要を公表する方針だ。同省は「これまでの活動の反省点を見極め、来年度以降、理解醸成につながる取り組みを充実させていく」とした。

 疑問に答える場

 県内の除染で出た土壌は中間貯蔵施設で一時保管された後、2045年までに県外で最終処分される。最終処分量の低減につながる再生利用を巡り、環境省は南相馬市で盛り土、飯舘村長泥地区では農地の造成といった実証事業を行い、安全性などの確認を進めている。今後は東京都、埼玉県、茨城県といった県外のうち、同省の施設を含む複数の候補地で実証試験を予定している。

 「福島の苦労はよく分かる。全国に(実証試験が)広がるよう取り組んでほしい」。環境省が昨年12月、東京都と埼玉県で開いた住民説明会では、こうした肯定的な意見があった一方で「除染土を全国に拡散して(安全性は)大丈夫なのか」など、風評や安全性に関する懸念も相次いだ。

 県外最終処分という「福島との約束」を果たすためには、国民の理解が不可欠になることが改めて浮き彫りとなった。環境省には丁寧な合意形成を進めるため、ささいな疑問にも答えられる場を確保することが求められている。(報道部・折笠善昭)