自宅で窒息、複数の傷...77歳男性殺害 いわき

 
事件の現場となった家の中を調べる捜査員=16日午後4時50分ごろ、いわき市山田町

 15日午前9時35分ごろ、いわき市山田町堀ノ内、根岸三男さん(77)方で、同居する女性(75)から「(根岸さんが)寝室で倒れて冷たくなっている」と110番通報があった。いわき南署員が駆け付けると、根岸さんは心肺停止の状態で、その場で死亡が確認された。県警が16日、福島医大で行った司法解剖で、根岸さんの死因は首の圧迫による窒息の疑いと判明した。県警は遺体の状況などから殺人事件と断定し、いわき南署に捜査本部を設置した。

 捜査本部によると、根岸さんは内縁関係にある女性、その娘(35)との3人暮らしで、1階寝室であおむけに倒れていた。顔や頭、首に複数の傷があり、出血していた。2階で起床した女性が根岸さんの寝室に様子を見に行き発見したという。娘は仕事で出かけており、家には根岸さんと女性の2人だけだった。

 県警は、死亡推定時刻とともに外部からの侵入の有無や金品などが盗まれていないかを調べている。

 現場はJR常磐線植田駅から北西約5キロの住宅街。

 のどかな集落衝撃「トラブル聞いたことない」

 いわき市山田町の住宅で16日に発覚した殺人事件。現場周辺ののどかな集落に衝撃が広がった。「気さくな人だった。トラブルは聞いたことがなかった」。住民からは、根岸さんが亡くなったことに対する驚きや不安の声が聞かれた。

 現場となった根岸さん方は、いわき南署山田駐在所から直線距離で東に約450メートルの位置にある。付近には規制線が張られ、制服警察官が警戒に当たった。パトカーや捜査車両が行き交う様子を、周辺住民が心配そうに見守った。

 近所の住民は「犬を散歩している姿をよく見た」「隠し立てなく、ざっくばらんに話してくれる人だ」と根岸さんの印象を語る。

 根岸さんは秋田犬などを数匹飼っており、1日に数回散歩することもあったという。秋田犬の県の品評会で上位成績を獲得するなど、飼育している犬に愛情を注いでいた。

 秋田犬を通して30年以上交流しているという70代男性は、「地味な人で言葉数も少ないが、義理堅かった」と語る。近況報告をたまにしていたが、今回の事件に大きなショックを受けた。

 数年前から根岸さんを知る近所の70代男性によると、根岸さんは日頃から自転車に乗って秋田犬を散歩させていた。男性は散歩中の根岸さんとあいさつを交わす中で親しくなり、かつては野菜を届け合う仲だった。「最近1年くらいは姿を見なくて気になっていた。恨みを買うような印象はない」と顔を曇らせた。

 一方、地区で組長を務める70代男性によると、根岸さんは地域での付き合いは少なく、男性は言葉を交わしたことがなかったという。「ずっとここで過ごしてきたが、事件は一度もなかったので驚きだ。気分が良いものではない」と不安を口にした。

 目撃情報など捜査

 捜査本部の本部長を務める安斎浩明刑事部長らは16日、いわき南署で記者会見し事件の概要を説明した。安斎刑事部長は「地域住民の安全安心を確保するため、必ず犯人を検挙する」と語った。

 記者会見では、根岸さんの死因が首の圧迫による窒息の疑いであることや、頭や顔、首などに複数の傷があったことなどが説明された。

 司法解剖が終わったばかりで死亡推定時刻は捜査中としたが、遺体は腐敗していないことから、死後それほど経過はしていないとみられる。最後に根岸さんの姿を確認した状況などを、同居する女性などから詳しく聞き取りしているという。根岸さんから警察署へのトラブルの相談はなかったという。

 捜査本部は100人態勢。事件発生前に周辺の防犯カメラに不審な人物が映っていないかなど、目撃情報を含めて捜査している。

 記者会見には、小松義夫捜査1課長、江連俊治いわき南署長が同席した。