福島復興は「恩返し、使命」 県出向の竹内さん、神戸で震災経験

 
阪神大震災で被災した経験から「福島の復興は使命」と語る竹内さん

 「あの時に受けた恩を返したいという思いがずっとあった」。国土交通省から県に出向し、浜通りに新産業の集積を図る福島イノベーション・コースト構想の仕事を担う竹内広悟(ひろのり)さん(40)=神戸市出身=は28年前の1995年1月17日、阪神大震災で被災し、80代の祖父を亡くした。自身の経験から「福島の復興は使命」と強い覚悟を持って業務に当たっている。

 阪神大震災の当時小学6年生だった竹内さんは「経験したことがない揺れで、ぐちゃぐちゃになった暗い家の中で怖くて震えていた」と振り返る。同居の家族は無事だったが、同じ神戸市内に住んでいた祖父忠三さんが、押しつぶされた家屋の下敷きになって亡くなった。すぐに会いに行きたかったが、道路も交通網も寸断された状態が長く続き、かなわなかった。

 その悔しさが、インフラや災害対応を所管する国交省を志すきっかけの一つになった。発災後に多くのボランティアたちと接した経験から「恩返し」を意識するようにもなった。

 国交省で航空関連の業務に就いていた時、東日本大震災が発生した。激しい揺れと津波、東京電力福島第1原発事故に襲われた本県の映像に衝撃を受け「福島の復興に携わりたい」と思ったが、同時期に自身にがんが見つかり、なかなかその機会は得られなかった。ただ治療中も治療後も、熱意は途切れなかった。

 体調が戻り、昨年4月に県福島イノベーション・コースト構想推進課長に就いた。「福島の復興に携われるのが本当にありがたい」と竹内さん。4月に福島国際研究教育機構の設立を控え、重要な局面にあるイノベ構想の推進へ奔走しており「福島の復興のため、県民のためになるようしっかりと尽くしたい」と誓う。