福島県産米、米国に年100トン輸出 県とJA、現地量販店合意へ

 

 県産米の輸出を巡り、県とJA福島五連が、米国で量販店を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の協力を得て、米国向けに年間100トンの輸出に合意する見通しであることが16日、分かった。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故後に米国が行ってきた日本産食品の輸入規制は2021年9月に撤廃されたが、県産米の輸出は2.2トン(21年度)にとどまっており、市場規模の大きい米国での販路拡大を狙う。

 内堀雅雄知事、管野啓二JA福島五連会長らは16日、ロサンゼルスに向けて出発。現地量販店でトップセールスを行い、県産米をアピールするとともに3者間での取り決めに合意する見通しだ。合意に基づき、県は米国でのプロモーションを強化し、JAは輸出継続に向けて安定的にコメを供給できるよう後押しする。ディスカウント店「ドン・キホーテ」などを運営するPPIHは、グループ企業がカリフォルニア州に構える量販店10店で県産米のフェアを継続的に実施するなどして協力する。

 県によると、21年度の県産米全体の輸出量は約398トンで、マレーシアと香港、シンガポールがそれぞれ100トンを超え、大半を占める。東南アジアへのコメの輸出拡大により、21年度の県産農産物の輸出実績は約432トンと過去最多となったが、米国の輸入規制撤廃後にコメの実績があるのはJA会津よつばや民間企業などの数団体にとどまる。市場規模の大きい米国向けの輸出を増やすことで、実績を押し上げる狙いもある。

 「天のつぶ」を想定

 米国は県産品最大の輸出先で、日本酒や加工食品などで実績があり、コメの伸びしろは大きい。県が米国への輸出拡大を見据えるのは県産米の「天のつぶ」。粘りが少なく一粒一粒しっかりとした食感があり、油や調味料のなじみが良いなど現地で受け入れられやすいと想定。輸出継続に向けまとまった量を確保でき、コシヒカリなどと比べて安価なため、現地で生産されるカリフォルニア米との価格競争にも耐え得るとみる。

 県によると、現地では干ばつによりカリフォルニア米の不作が続き、アーモンドなどに転作する動きがある。日系人が多い土地柄や日本食ブーム、パックご飯の人気などの要素も商機につながるとしている。

 国内では、人口減や食生活の変化でコメの需要が年10万トンずつ減っている。県やJAは、県産米の高い品質に見合った販路を海外で確立することで、米価下落に悩む農家の生産意欲の向上にもつなげたい考えだ。