1月最多...季節外れのシラス 相双・水揚げ57トン、水温影響か

相馬市の松川浦漁港など相双地区の港で、主に8~12月が漁期とされるシラスの水揚げが年明け後も続いている。相馬双葉漁協によると、17日までの今月の水揚げ量は57トンとなり、1月の県内の漁獲量としては、記録が残る1970(昭和45)年以降で最多となっている。関係者は、季節外れのシラスに「この時期にこんなに取れるなんて思ってもみなかった」と驚く。
松川浦漁港では17日午前、帰港した漁船がシラスがぎっしり詰まった籠を次々に水揚げした。シラス漁の操業委員長、山崎芳紀さん(54)は「いつもならいなくなっているはずの年末でも質のいいのが取れ、それが今まで続いている」と説明する。
県内では、原発事故後の操業自粛を経て、2013年10月からシラスの試験操業が始まったが、1月に水揚げが確認されたのは、震災後は今年が初めて。県水産海洋研究センター(いわき市)によると、いわき海域を含めた県全体の1月の漁獲量は、1970年以降では84年の38トンが最も多かった。91~10年の20年間の1月の平均は約2トンだった。
本県沖で漁獲されるシラスは、大部分がカタクチイワシの稚魚。産卵期は春から秋とされ、生後40~50日で3センチ程度に成長する。年明け後もシラスが水揚げされる状況について、同センターの広瀬充漁場環境部長(49)は「海水温や海流などの影響により、本県沖でシラスがまとまって水揚げされる環境が整ったのではないか。だが、はっきりとした理由は分からない」と語る。山崎さんも「ここ数年、トラフグやタチウオなど西日本で取れていた魚が、相双でも揚がるようになった。シラスも、フグと同じように海水温の上昇の影響を受けているのではないか」と首をかしげる。
この時期のシラスに、仲買業者も目を丸くする。相馬原釜魚市場買受人協同組合長の佐藤喜成さん(70)は「30~40年この仕事をしているが、こんなことは初めて」という。水揚げされたシラスは、通常の2倍以上の価格で取引されている。「全国的には漁獲量が減っていることが、価格に影響している」と話した。
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