福島県の子育て世代、東京に熱視線 手厚い少子化対策次々

 
福島市の公園で保育園に通う子どもと遊ぶ父親ら。育児支援を巡り、保護者の間にはさまざまな反応が広がっている(写真は本文とは関係ありません)

 岸田政権が最重要課題とする少子化対策を巡り、19日の関係府省初会合では「過去にない大胆な策」を打ち出す方針を確認した。これに先立ち、東京都が相次いで手厚い少子化対策を表明し福島県の子育て世代は熱視線を注ぐ。「同様の支援を受けられるならもう1人子どもを持ちたい」「地方でこそ力を入れるべきだ」。親からはさまざまな反応が上がる一方、移住・定住策に注力する自治体からは「東京一極集中が加速しかねない」などと焦りもにじむ。

 「年間数十万円単位で家計が楽になるのは、正直うらやましい」。福島市内の公園で2歳の次男と遊んでいた同市の会社員山田恵一さん(43)はこう語り、「自然に人が集まる東京だけでなく、同じ動きが全国に広がってほしい」と望んだ。

 都は今年に入り〈1〉都内に住む0~2歳の第2子の保育料を完全無償化〈2〉18歳以下の都民に1人当たり月5千円を給付―という二つの新事業を発表した。いずれも新年度に始め、所得制限は設けない方向だ。

 国は19年10月、認可保育所に通う3~5歳児の保育料を無償化したが、2歳以下は原則無償化の対象外。保育料は世帯収入などで変動し、月3万~5万円を支払っている家庭が多い。月5千円の給付事業と合わせ、都内の子育て世代は年間40万~60万円が浮く計算になる。これは県内の都市部を含めた多くの自治体と比べても充実した措置だ。

 春に第2子の出産を控える福島市の30代女性は「もし今のタイミングで夫が東京に転勤になったら、単身赴任ではなく家族帯同を考えると思う。そのくらい手厚い支援策」と語った。

 県推計人口は1998(平成10)年1月の約213万人をピークに減少が続き、22年4月には180万人を下回った。21年の転出超過は広島県に次ぐ全国2番目で、女性を中心に若者世代の県外流出が深刻化している。今後への影響について、自治体からは「東京への人口の流れが加速する恐れがある」(伊達市)「移住・定住の動きに影響が出てくるかもしれない」(浪江町)などと反応が聞かれた。国や県による一律の対応を求める声も複数あった。

 0~2歳児の保育料 第1子から無償、県内17市町村

 県の本年度調査などによると、0~2歳児の保育料を独自に補助している県内自治体のうち17市町村は第1子から完全無償化している。南相馬市は原発事故で多くの子育て世帯が避難したことを受け、2014(平成26)年から実施。人口減少が進む奥会津の只見町、柳津町、三島町、金山町、昭和村なども子育て支援が手厚い。

 国の助成では基本的に第2子が半額、第3子以降が無料となるが、小学生以上は第1子にカウントされない。このため、27市町村が無償化や軽減の範囲拡大などの措置を取っている。4月から第2子を保育園に預ける伊達市の公務員女性(32)は「半額措置は上の子どもが小学校になると適用されない。そこを見直してほしい」と注文する。

 県内でも負担軽減策が「ない」と答えた市町村もあり、子育て支援への温度差が見られる。東京都が第2子の保育料を無償化することに関し、県子育て支援課の担当者は「同様の取り組みは財源が課題で簡単にはできない。全国一律の支援が可能となるよう国にも要望している」と説明。4月に発足するこども家庭庁の動きに期待している。