コロナ流行3年、「5類」引き下げへ 歓迎と不安...対策は継続

 
「5類に引き下げられても、感染対策は引き続き行いたい」と話し、テーブルをアルコール消毒する酒井さん=会津若松市

 今春にも新型コロナウイルスの分類を「5類」に引き下げ、マスク着用や外出自粛が見直される方向性が示され、福島県民からは歓迎の声の一方、「まだ早い」など不安の声も聞かれた。医療機関や自治体は「引き続き感染対策が必要」と気を引き締める。

 「(新型コロナウイルス感染症が)まだ危険だという認識がある。だが、経済活動が回らないこともあるので、どちらが良いのか」。会津若松市のバー「あ舞(ぶ)らや」のバーテンダー酒井雅司さん(58)は複雑な心境を語る。店は2、3次会での利用が多く、時短営業期間に客の入店はほぼなかった。店を閉めている時期もあり、売り上げは新型コロナ禍前より、3分の1以上落ちたという。「この3年間は本当に大変だった。引き下げでお客さまに来てもらえれば」と期待も口にする酒井さん。5類になった後もマスク着用など感染対策を継続していくつもりだ。

 約3年間にわたり生活に制約を受けてきた県民の受け止めはさまざまだ。小学3年生の娘を持つ矢吹町の会社員藤井恵さん(41)は「3年間、マスク着用や黙食など制限された生活をしており、すぐに元通りの生活に慣れるかは不安がある」と語る。その上で、「5類に移行されれば、学校行事などでもできることが増えると思う。マスクを外し、顔を見てコミュニケーションを取って過ごしてほしい」と願った。

 喜多方市の山口勝男さん(80)は制限が緩和され、医療機関の病床使用率がさらに上がることや新型コロナの実情がつかみづらくなることを指摘。「感染の波は収まっていない。高齢者は感染し亡くなる人も多い。移行するのはまだ早いのではないか」と慎重な姿勢を見せる。

 福島大3年の渋谷奈旺(なお)さん(20)は「(引き下げは)おおむね賛成できるが気になる点もある」と指摘。医療従事者の負担軽減につながる一方、物価高などを踏まえ「医療費の自己負担をなくし全額公費負担としてほしい。医療従事者への支援も今まで以上に続けてほしい」と望んだ。

 総合南東北病院(郡山市)の寺西寧(やすし)院長(69)は「医療機関の負担が少なくなり、病気やけがの患者にも対応する余裕ができる」と歓迎する。新型コロナの検査や診療は現在一部の医療機関のみで行っているが、5類に引き下げられれば規定上、一般の医療機関でもできるようになる。寺西院長は「救急患者の受け入れなどで、逼迫(ひっぱく)する医療現場の状況が改善される」と期待する一方、「院内での感染対策は引き続き、しっかり行う必要がある」と指摘した。

 自治体、方針の提示注視

 保健所を抱える県内自治体は5類への引き下げに理解を示した上で、移行後に対応がどう変わるのかを注視している。

 いわき市保健所の担当者は「見直されるなら負担軽減につながる」と評価。ただ、感染対策や医療機関の対応には別の議論が必要とし「多くの人が亡くなっている現状がある中、対応を緩和するのか現在のままなのか。具体的な方針発表を注視したい」と述べた。郡山市保健所の担当者も「体力がある人はあまり症状が出てきていない」などとして5類移行に理解を示し「重症化しやすい人の入院調整などにどう関わっていくのか早く方針を示してほしい」と求めた。

 福島市保健所の国分英男副所長は「対応は変わるが、今まで以上に医療機関や介護従事者と連携し重症化リスクのある人をフォローする。地域包括ケアシステムの構築を強化していくことが重要」と強調した。

 県の担当者は、5類に引き下げた場合も必要な感染対策を検証する必要性を訴える。現状も医療提供体制に負荷がかかっており「何も対策をしなければ医療への負荷はさらに高まる」と指摘。マスクについては「どういう場合に不要、必要を判断するのか議論が必要」と述べた。