微生物研究、社会のために 福島高専・十亀助教が奨励賞ダブル受賞

 
「休眠型細胞の仕組みの解明が進めば生命進化の本質に通じるだろう」と語る十亀助教

 福島高専化学・バイオ工学科の十亀(そがめ)陽一郎助教(34)は、日本比較生理生化学会が優れた若手研究者を表彰する本年度の「吉田奨励賞」と、日本原生生物学会の奨励賞をダブル受賞した。田んぼなどの身近な環境に生息する微生物「コルポーダ」に細胞の回復機能や放射線などへの強い耐性があることを研究で突き止め、その成果が認められた。十亀さんは「研究成果を社会に役立てたい」と意気込んでいる。

 コルポーダなどの微生物は、乾燥や高温、紫外線などで過酷な状況にさらされると、表面に殻を張り「休眠シスト」(休眠型細胞)と呼ばれる特殊な細胞に変化して休眠する。

 十亀さんらの研究で休眠中のコルポーダに強い酸や放射線、凍結への耐性があるほか、傷ついた部分を回復する機能が備わっていることが分かった。これまで休眠状態の細胞に回復能力が見つかったとの報告はないという。関連する33の研究成果が国際学術誌に掲載されたことが二つの学会に評価された。

 十亀さんは高知大大学院博士課程、農業・食品産業技術総合研究機構の研究員などを経て2016(平成28)年に福島高専助教に就いた。学生を指導しながらコルポーダの研究を重ねてきた。

 休眠型細胞を巡っては、感染症を引き起こす赤痢アメーバなども作るため、研究成果を感染症の検査などに応用したり、凍結保存に限られているウイルスワクチンの乾燥保存の技術に応用したりすることが期待されている。

 十亀さんは「コルポーダのような単細胞生物は生まれて数十億年、多細胞化せず、独自の進化により現代まで生き抜いている。休眠型細胞の仕組みの解明が進めば、生命進化の本質に通じるだろう」と今後の研究に意欲を見せる。