会津に20年近く勤務「真面目な人、なぜ」 福島県職員ら逮捕

 
容疑者の主査の男が勤務する県中農林事務所に家宅捜索に入る捜査員=23日午後7時ごろ、郡山市

 県発注公共工事の秘密事項に当たる設計金額を伝え、その謝礼に接待があったとして、県職員と会津坂下町の建設会社の会社社長ら計3人が逮捕された贈収賄事件。「真面目な人がなぜ...」「残念だ」。容疑者を知る関係者からは驚きの声が聞かれた。どのように接点を持ち、便宜を受ける関係になったのかが、今後の捜査の焦点になる。

 収賄の疑いで逮捕された県中農林事務所主査の男(44)は1997年に県職員採用され、2002年から昨年4月に県中農林事務所へ異動するまでの約20年間、会津農林事務所や南会津農林事務所など会津中心に勤務した。 

 関係者によると、設計金額を伝えた謝礼として、26万円相当の飲食などの賄賂を受けたとされる20年3月ごろから22年4月ごろは、会津農林事務所農村整備課主査として勤務。ほ場整備や水路整備など農業や土木事業に関する公共事業の設計・積算業務を担当、現場監督も行っていたという。

 主査の男を知る県の幹部職員は「現場経験が豊富で、適切に業務を行い、真面目で気さくな人柄で業務に当たっていた」と話した。会津若松市の自宅近くに住む男性は「たばこも酒もやらない、真面目な男だと思っていた」と逮捕の一報に驚きの表情を浮かべた。

 一方、贈賄の疑いで逮捕された会津坂下町の建設会社社長の男(45)と同社役員の男(59)。建設会社は法人化50年以上の総合建設業で、社長の男は11年の東日本大震災後に社長に就いた。役員の男は現在、取締役営業統括部長を務める。

 会津坂下町の本社では23日夕、担当者が「関係者に多大な迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げる」と陳謝した。社長の男を知る同業者の男性は「親から若くして会社を受け継いだ。(今年の)町の新年会には、出席していたようだが、普段の町なかの会合や人前にはあまり出てこなかったようだ」と話した。

 別の同業者の男性は「会社の事業展開に期待を寄せる町民も多いだけに非常に残念だ」と話した。

 県中農林事務所に家宅捜索

 主査の男が現在勤務している郡山市の県中農林事務所では23日午後7時ごろから県警による家宅捜索が行われた。約15人の捜査員が一斉に立ち入り、事務所内を捜索。約3時間後に段ボール7箱分の関係書類を運び出した。

 農林水産部長「深くおわび」

 職員の逮捕を受け、県農林水産部の小柴宏幸部長らは23日、県庁で記者会見し「県民の信頼を著しく損なうもので深くおわび申し上げる。不祥事を二度と起こすことがないよう法令順守を徹底し、県民の信頼回復に努めていく」と陳謝した。

 県によると、主査の男は23日、休暇を取っており、県が事件を把握したのは県警から連絡を受けた同日午後1時ごろ。再発防止に向け、小柴部長は「職員一人一人にコンプライアンスの徹底が図られるよう、綱紀粛正に向けて今回の事案をわがこととして取り扱うような研修を進めていく」と述べた。会津農林事務所の星源昭所長、県中農林事務所の岩沢利明農村整備部長が同席した。