「エール」縁...共に未来へ 福島と豊橋、パートナーシティ協定

古関夫妻の入籍日に"夫婦都市"が誕生―。福島市出身の作曲家古関裕而と妻金子(きんこ)がモデルのNHK朝ドラ「エール」の舞台となった福島市と愛知県豊橋市が9日、都市間連携の「パートナーシティ協定」を結んだ。古関夫妻の入籍日に合わせ、豊橋市役所で締結式が行われ、両市の代表が未来へ共に歩むパートナーとして互いの発展に努め、文化や産業、防災、教育の分野での活発な交流の展開を誓った。
豊橋市は金子の出身地。福島、豊橋の両商工会議所青年部の朝ドラ誘致活動を機に絆が生まれた。物産展の開催や古関夫妻の逸話にちなんだ「エールポスト」設置などに発展した。豊橋市の伝統文化「手筒花火」が福島市で披露されたり、豊橋市の「豊橋まつり」に福島わらじまつりが参加したりするなど、相互交流が活発化している。
式では木幡浩福島市長と浅井由崇豊橋市長が協定書を取り交わした。木幡市長は「古関夫妻の縁に感謝しながら、両市が手を取り合って古関メロディーのように調和の取れた連携を進めたい」と語り、浅井市長は「両市の距離は遠いが、心の距離は縮んでいる。共に未来を切り開き、切磋琢磨(せっさたくま)して名ばかりではない実りある関係にする」と述べた。
両市は今後、音楽や伝統行事を生かした交流、特産品の販売や販路開拓に取り組む。災害時の相互応援や災害対策の情報交換、児童生徒の交流、市職員の人事交流なども実施していく。
式には真田広志福島市議会議長、渡辺博美福島商工会議所会頭、小河日出男福島わらじまつり実行委員会委員長、堀田伸一豊橋市議会議長、神野吾郎豊橋商工会議所会頭、佐藤元英豊橋観光コンベンション協会長が同席。豊橋少年少女合唱団による古関作曲の「栄冠は君に輝く」「高原列車は行く」「豊橋市歌」の合唱なども繰り広げられた。
締結記念、特産品を販売
福島市と愛知県豊橋市のパートナーシティ協定の締結を記念し、豊橋市の豊橋駅ビルで9日、福島物産展が始まり、本県産の菓子や加工品などの特産品が販売されている。12日まで。
豊橋観光コンベンション協会の主催、豊橋市のヤマサちくわ、山安の協力。会場には森藤食品(福島市)のいかにんじんや漬物、金水晶酒造店(同)の日本酒、柏屋(郡山市)の薄皮饅頭(まんじゅう)などの産品が並んでいる。
物産を通じて福島とのつながりをアピールしており、通りがかった豊橋市の女性は「朝ドラでつながった福島と交流を深めていくことは良いことだ」と語った。
同協会の豊田達也事務局長・総務部長(65)は朝ドラ誘致から関わってきており「福島との絆がもっと強まり、多分野で交流できれば」と願った。販売コーナーに立った森藤食品の森藤洋紀専務(45)は「古関夫婦の出会いが朝ドラ、そして協定締結に至り不思議な感覚だ」と語った。
3月下旬には福島市で豊橋物産展が開催される予定。