被災高齢者支援「切れ目なく」 一昨年、昨年に震度6強の相馬

 
最大震度6強の地震に2年連続で見舞われた相馬市中心部。市内では今も建物の解体作業や修理工事が続いている=11日

 福島県沖を震源とした2021年2月の地震から、13日で丸2年となる。最大震度6強を観測した相馬市では、昨年3月にも再び震度6強の地震に見舞われ、大きな被害を受けた。自然災害が相次ぐ中、住宅の確保などで負担増に苦慮する高齢者は少なくない。関係者は「被災直後はもちろん、長期的な視点に立った見守りが必要だ」と訴えている。

 「本当は自宅で最期まで過ごしたかったのだが、壊さざるを得ない」。相馬市の70代後半の男性は被災した自宅を前にうなだれた。

 男性が妻と2人で暮らす自宅は昨年3月の地震で半壊の判定を受けた。公費解体を申請した男性は住宅の再建を模索したものの、資金面で断念。賃貸住宅への引っ越しを選んだ。「引っ越し代や月々の家賃は、年金暮らしの身には大きな負担だ」と頭を抱える。

 相馬市社会福祉協議会常務理事の今野大さん(60)は「被災した高齢者の支援には、急性期と慢性期がある。切れ目のないサポートが大切だ」と強調する。

 昨年3月の地震発生から間もなく、市社協は民生・児童委員と協力して高齢者だけで暮らす約1500世帯を訪問。その後も継続的に安否確認を続けた。今野さんは「最初は『大丈夫だ』と答えていても、1週間もたてば疲れてくる。日を置いて回ってみないと分からないことがある」と語る。

 市社協は、訪問活動を通じて室内の片付けに困っている高齢者を把握し、支援するボランティア活動を展開した。約50世帯を訪れ、居間や寝室など生活空間の安全性を確保した。

 度重なる災害の経験も踏まえ、今野さんが重視するのは被災直後の「急性期」を過ぎてからの支援だ。「時間がたっても生活が良くならない場合がある。住む場所を失い、困窮することもある」と説明する。

 実際に地震から時がたつにつれ、支援を必要とする高齢者世帯は増えているという。今野さんは「被災した当初は電気や水道の復旧といった目に見える変化があり、そのたびに高揚感もある。だが、時間が経過するにつれ、変化は少なくなり、高齢者は取り残されたような感覚に陥る。重要なのは、長期的に寄り添う取り組みだ」と力を込めた。(丹治隆宏)