がん検診受診率が最低 20年度福島県内、コロナで受診控え影響

福島県内の2020年度がん検診の受診率は、肺がん26.4%、大腸がん25.2%、乳がん40.9%、子宮頸(けい)がん37.6%と、いずれも前年度を大幅に下回り、過去10年間で最低となった。胃がんも大きく落ち込み30.5%。受診率はここ数年低下傾向にあったが、新型コロナウイルスによる「受診控え」が影響した形だ。検診はがんの早期発見・早期治療につながることから、県は新年度、がんに無関心な若い世代などを対象に乳がんについて啓発するなど受診率向上を目指す。
県が13日に福島市で開いた県がん検診受診促進連携協定企業連絡会議で示した。受診率の推移は【グラフ】の通り。胃がんを除き、ピークはいずれも16年度で、肺がんは39.4%、大腸がんは35.1%、乳がんは49.2%、子宮頸がんは43.9%だった。胃がんは17年度の39.5%が最高。県は、団塊の世代が受診対象年齢から外れたことなどが減少傾向の要因とみている。
新型コロナの感染拡大があったことから、19年度から20年度の減少幅は他年度と比べて大きく、肺がんは7.3ポイント、大腸がんは4.5ポイント、乳がんは4.0ポイント、子宮頸がんは2.2ポイント、胃がんは4.5ポイント減少した。
県は総合計画で、受診率の目標値として胃がん、肺がん、大腸がんは50%、乳がん、子宮頸がんは60%を掲げているが、20ポイント前後の開きがある。県内では死因の総数のうち、約25%をがんが占める。医療技術の進歩により、がんは早期に発見することで高い確率で治癒が可能な疾患とされている。県は検診について、がんの早期発見・治療に加え、死者を減らすことにつながるとして、受診を推奨している。
このため新年度、若年層をターゲットに、がん以外をテーマにしたイベントで集客を図り、集まった人に乳がんへの理解を深めてもらう取り組みを新たに展開する。若い世代以外にも、がんに関する自己点検の重要性や検診の必要性を発信する。
会議では、県とがん検診受診促進について連携協定を結ぶ企業から、年代に合わせて交流サイト(SNS)などを活用した啓発が必要との指摘があった。県健康づくり推進課は「無関心層にいかに関心を持ってもらうかが大切。広報周知の取り組みを強化し、企業とも連携を図っていきたい」としている。
◇
がん検診 県内では胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸(けい)がん、乳がんの検診を受診できる。対象年齢は胃がんは50歳以上、肺がんと大腸がんは40歳以上。女性が受けることができる子宮頸がんは20歳以上、乳がんは40歳以上が対象となる。五つとも69歳まで。