太陽光余剰電力、EV介し利用 日産と南相馬市、区役所で実証

日産自動車と南相馬市は、同市の鹿島区役所で、電気自動車(EV)の充放電システムを活用し、太陽光発電の電力を効率的に使用する実証実験に取り組む。太陽光の余剰電力をEVに充電し、区役所の使用量に応じて給電することで、再生可能エネルギーの効果的な利用につなげる。災害時の電力としての活用も想定しており、新年度からの開始を目指す。
日産と南相馬市などが14日、福島ロボットテストフィールド(同市)で開かれた浜通り連携協定サミットで発表した。日産は昨年、浪江町の道の駅なみえで同様の実証を始めており、南相馬市に拡大する。日産は同区役所にEV3台と充放電器を配備する。行政施設での実証は国内初という。災害時に避難所までEVを移動させてその場で電力を供給することも想定している。
市によると、昨年3月に震度6強を観測した本県沖地震では、鹿島区役所で停電が発生。蓄電池に切り替わったが、約2時間ほどで供給が停止した。設備の老朽化が原因とみられ、停電への備えとしてもEVの充放電システムの活用が効果的と判断した。門馬和夫南相馬市長は「浜通り地域では、まだまだ有事に備えた体制が必要」と述べた。日産の中畔邦雄副社長は「日本の地方都市が抱える課題を解決するため、地域に根差し成功事例を積み重ねたい」と意欲を示した。
サミットでは、連携協定を締結している同市と浪江町、双葉町、日産など企業8社が連携の強化を確認。停電時に、日産が南相馬市と浪江町にEVや給電に必要な機材を貸し出すことも同意した。このほかサミットでは、参加企業や自治体などが取り組みを紹介したり、パネル討論で復興への思いを語った。