無翅昆虫類の「シミ」中腸形成過程を解明 福島大ら研究チーム

写真左から塘忠顕教授、武藤将道客員研究員
福島大共生システム理工学類の武藤将道客員研究員や塘(つつみ)忠顕教授らでつくる研究チームは17日、原始的で翅(はね)をもたない無翅(むし)昆虫類の「シミ」の消化器官「中腸」の形成過程を解明したと発表した。昆虫の進化の過程の解明につながる成果だという。
卵黄細胞から作られる器官
研究チームによると、中腸は人間の胃に相当する器官。無翅昆虫類の中腸は卵の中の卵黄細胞により形作られており、翅を獲得した有翅昆虫類の中腸は他の器官が伸びることで形成されることが分かっている。しかし無翅昆虫類の中で有翅昆虫類に最も近いシミについては、中腸の形成過程がよく分かっていなかった。
研究チームは厳密な組織学的観察などを行い、シミの中腸も卵黄細胞により形成されていることを突き止めた。無翅昆虫類は全て卵黄細胞からできていて、有翅昆虫類になると他の器官から形成されることが明らかになり、研究チームによるとこの変化が昆虫類の大繁栄につながる重要な出来事になったと考えられるという。研究チームには筑波大や北里大の研究者も加わった。