国道399号沿線5市町村、振興へ官民一体 産品ブランド化や誘客

 

 阿武隈山地を南北に貫く国道399号が通る飯舘、浪江、葛尾、田村、川内の沿線5市町村は3月2日、官民一体の連絡協議会を設立する。各市町村の地域づくり団体などと連携し、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興・再生に関する情報発信、地元産品のブランド化、地域資源や伝統文化を活用した観光誘客などで協働し、沿線地域の振興を図る。

 協議会は5市町村の首長で構成するほか、オブザーバーとして都路町観光協会(田村市)、かわうちラボ(川内村)、まちづくりなみえ(浪江町)、葛尾むらづくり公社(葛尾村)、飯舘村振興公社、あぶくまロマンチック街道構想推進協議会、県、県観光物産交流協会が参加する予定。

 同国道はいわき市を起点に阿武隈山地を北上し、宮城県を経て山形県南陽市に至る。総延長は約200キロ。県は震災後、浜通りの復興を後押しするため、ふくしま復興再生道路に指定、優先的に整備してきた。あぶくまロマンチック街道とも呼ばれている。

 沿線地域の振興を巡っては、5市町村の住民が2004年にあぶくまロマンチック街道構想推進協議会を組織し、民間主導で交流、情報発信に努めてきた。震災後も自然豊かな里山の魅力を伝えるツアーや郷土料理の継承事業などを展開、地域の魅力を広めてきた。かつては沿線自治体も主導的に活動していた経緯があり、今回、県相双地方振興局が調整役を担い、官民一体で取り組む。

 川内村で3月2日に初会合を開く。新年度の事業計画では、地域ブランド「あぶくまロマンチック街道」の確立を目指し、阿武隈の豊かな自然やソバ、エゴマなどの農産物、ワイン、牛肉などの特産品の価値を高めるためのブランド認証とロゴ作成、地元産品の総合パンフレットの作製などを行う。道路改良や利活用に向けた環境整備を国や県に要望する活動なども計画している。

 同国道は、原発事故による避難指示が出た5市町村を通る。震災から間もなく12年を迎える今も帰還困難区域となっている地域もあり、特定復興再生拠点区域(復興拠点)として整備が進み、今春に避難指示解除を控える浪江町津島、飯舘村長泥の2地区も通過する。