「技術力」「地域貢献」追加 福島県、指名入札基準見直し検討

 

 県発注工事の入札制度を巡り、県は新年度、指名競争入札の指名選考基準に「技術力」や「地域貢献」の視点を加える方向で検討に入った。頻発、激甚化する災害時に県民の安全を守るため、日頃から県などが管理する施設の維持・補修や、除雪、災害対応を担っている地元建設事業者の技術力や地域貢献の実績が適正に評価されるようにする。3月上旬の入札制度等監視委員会に見直し案を諮る。

 県は、県発注工事を巡る談合事件に伴い2007年に指名競争を全廃したが、20年度に「地域の守り手育成型方式」として予定価格3000万円未満の小規模な工事で試行的に再開した。制度の見直しは再開後初めて。指名競争では発注種別や設計金額ごとなどに格付け要件を設けていないが、技術力を担保するため格付け要件の導入を検討する。

 また条件付き一般競争入札では、県管理施設の災害対応の実績をより重視し、加点の上乗せを検討する。いずれも3月上旬に開く入札制度等監視委員会で審議し、了承を得られれば新年度から導入される見通し。

 県内では19年の東日本台風や2年続けて発生した本県沖での地震、昨年8月の記録的大雨など大規模災害が頻発し、地域の安全を支える技術力を備えた地元建設業者の役割は一層重要になっている。一方で建設資材高騰や担い手不足など建設業界を巡る課題は多い。こうした中、入札制度見直しによって県発注工事の品質確保と、地元建設業者の安定的な経営の継続の両方を図っていく狙いがある。

 現行の指名競争は国、県、市町村いずれかの施設の管理業務の実績を資格要件とし、工事の規模にかかわらず全ての格付け等級の企業が入札に参加できる仕組みだが、建設関係団体などからは、工事の品質を確保するため、格付け要件の設定などにより技術力や実績を踏まえた制度に見直すよう求める声が上がっていた。

 20日の2月定例県議会で自民党の西山尚利議員(福島市)の代表質問に安斎浩記総務部長が答えた。