茨城のシカ、日光から移動 福島大などチーム、鬼怒川流域生息域
福島大などでつくる研究チームは、近年、茨城県南西部で生息が確認されたニホンジカが、栃木県日光地域から移動してきた可能性が高いことを突き止めた。研究で日光地域のシカにしか見られない独自の遺伝子型を持っていることが確認された。両県を流れる鬼怒川流域で生息域を広げている可能性があるという。論文が「野生生物と社会」学会の学会誌に掲載された。
研究チームは福島大、森林総合研究所(茨城県つくば市)などで構成。福島大から、兼子伸吾共生システム理工学類准教授(44)と同大学院共生システム理工学研究科博士後期課程の高木俊人さん(27)が加わった。
チームによると、茨城県内のシカは狩猟によって1920年代を最後に目撃されてこなかった。しかし、2013(平成25)年に同県大子町の八溝山で再び生息を確認。現在は県北部から南西部にかけて目撃が相次いでいるという。
チームは15~19年に南西部で捕獲した雄のシカ3頭のDNAを解析し、関東地方に生息するシカのDNAと照らし合わせた。その結果、日光地域の鬼怒川源流でしか確認されなかった遺伝子型と一致した。高木さんは「本県でも阿武隈川のような河川沿いを移動し、従来シカがいなかった場所に突然現れる可能性は十分に考えられる」としている。