脱炭素実現へ全県で推進 福島県が産学官民組織、6月にも設立
2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)の実現に向け、県は6月にも産学官民で構成する「ふくしまカーボンニュートラル実現会議(仮称)」を設立する。地球温暖化対策が喫緊の課題であるとの共通認識の下で、温室効果ガスを抑制する「緩和策」と気候変動に対応する「適応策」の実践を両輪で進め、「オール福島」でカーボンニュートラル達成への機運を高めていく。
会議の組織体制は今後詰めるが、知事を代表にカーボンニュートラルに関連する業界団体の長が副代表として参画する見通しだ。59市町村の首長も委員として加わり、関係者が足並みをそろえ、県民総ぐるみでの運動を展開していく。
県は環境月間の6月にも設立総会を開き、取り組みを本格始動させる。総会は毎年開催し、LED電球や電気自動車(EV)の普及といった温室効果ガス排出の抑制に必要な緩和策や、気候変動に起因する異常気象などへの備えといった適応策について、年度ごとに実行計画として策定することを想定している。有識者による最新の知見を踏まえた基調講演も行い、各自の取り組みに反映させる。
本県では、内堀雅雄知事が21年2月に「福島県2050年カーボンニュートラル」を宣言した。昨年5月には、県民や事業者などがそれぞれの立場で取り組むべき温室効果ガス削減活動や、年度ごとの温室効果ガス削減目標を定めたロードマップ(工程表)を策定している。
ただ、市町村をみると、宣言しているのは21日現在で15市町村にとどまり、県内全域で機運が高まっているとはいえない状況だ。また、地球温暖化対策推進を目的に産学官民の91団体で構成する「地球にやさしい"ふくしま"県民会議」には市町村が単独では加わっていない。
このため、新たな会議の下部組織として県内市町村が構成員となる部会を設置する。カーボンニュートラルに向けた取り組みを各市町村が「自分ごと」として推進する体制を整えてもらう狙いもある。
21日の2月定例県議会で県民連合の高橋秀樹議員(福島市)の代表質問に答えた内堀雅雄知事は「脱炭素社会の実現に向けた歩みをこれまで以上に進めていくことが重要だ」と強調した。