芝居小屋「旧広瀬座」修理・改修へ 福島市、2階席利用可能に

 
改修が予定されている旧広瀬座の内部

 福島市は新年度、「福島市民家園」内にある明治時代に建てられた全国的に希少な芝居小屋で、国指定重要文化財の「旧広瀬座」の再整備の建築工事に着手する。3カ年計画で保存修理と耐震補強、設備改修を進め、2025年度の完成を見込む。再整備によって、これまで立ち入りできなかった2階席が利用できるようになる。

 旧広瀬座は現在の伊達市梁川町にかつて所在した芝居小屋。生糸で財をなした梁川の住民有志が建設資金を募って1887(明治20)年に建て、戦後は映画館に改装された。1986(昭和61)年の洪水で取り壊しが決まったが、福島市民家園で保存されることとなり、平成になって移築された。NHK朝ドラ「エール」のロケ地にも使われた。

 市が文化庁や有識者らと協議を進め、本年度までに基本設計と実施設計を行っていた。2階席が利用可能になると、座席が現在の約200席から約300席に増える。3カ年の工事費用は約7億4200万円を見込んでおり、うち新年度当初予算案には約4000万円を計上した。利便性向上のため木造のトイレ棟や2階席につながる階段を新設する。

 市担当者は「利便性を向上させて魅力を高めたい。席数が増えることで興行での活用の幅が広がり、観光誘客にもつながる」とした。木幡浩市長は21日、記者会見し、3月1日に開会する市議会3月議会に提出する1147億円の新年度一般会計当初予算案など議案46件を発表した。